論壇

保険医新聞編集部が選ぶ今年の重大ニュース

 政権交代で政治状況は刻々と変わりつつあるが、2009年を締め括るに当たり今年の重大ニュースを順に並べてみた。

■年越し派遣村

 年末年始に日比谷公園内に設けられた「年越し派遣村」は、当初の想定を越えた人々が殺到。急遽避難先として厚生労働省の講堂が開放されたり、緊急の住宅支援などが実施された。非正規雇用者の実態や貧困問題が大きな社会問題としてマスコミに取り上げられた。保険証がないため医療が受けられない事態も深刻化している。

■レセプトオンライン義務化に2200人規模の集団訴訟

 1月21日、神奈川県保険医協会は厚生労働省がレセプトのオンライン請求「義務化」を省令で決定した事に対し、横浜地裁に提訴。これに続き全国の医師・歯科医師約2200人が訴訟団に参加し義務化阻止に態度表明した。

■黒人初の米国大統領にオバマ氏就任

 1月20日、バラク・オバマ氏(47)が「change!」を掲げ、米国第44代大統領に黒人として初めて就任。同氏は4月5日に、遊説先のプラハで「過去に核兵器を使用した唯一の核保有国として米国は行動する道義的責任がある」と述べ、「核兵器のない世界」を目指すと表明。これにてノーベル平和賞を受賞。また選挙公約に掲げた公的医療保険の設立に、内政上の最重要項目として取り組んでいる。

■介護改定 厚労省が有意的な認定操作

 4月1日より施行された要介護認定方式の変更などで、従来の要介護度を低く査定。これにより介護給付費を384億円程度抑制できると明記した内密資料を厚労省が作成していたことが判明。軽度に判定されるため必要な介護が受けられなくなったと批判が全国の声が噴出。

■新型インフルエンザが流行

 4月、メキシコで新型豚インフルエンザ(H1N1型)の流行が確認され、6月12日、WHOが1968年香港風邪以来のパンデミック宣言。水際作戦を展開した厚生労働省に有識者からの批判続出。神戸の開業医が「症例定義」無視の機転で国内初例を発見。今夏以降、国内で増え続ける患者や国のワクチン接種への対応の不備に現場は混乱。

■裁判員制度始まる

 5月21日から裁判官に市民が参加した「裁判員制度」がスタート。有罪・無罪だけでなく刑の量刑まで踏み込んだ形態。8月3日に制度後初の裁判員裁判が行われた。情状(市民感覚)部分に従来の判例にない影響が出始めている。

■原爆症認定集団訴訟が和解

 8月6日、原告団と国の間で「訴訟終結に関する基本方針に係る確認書」が取り交わされ、集団訴訟は終結。全国各地の被爆者が原爆症認定の却下処分は不当だとして集団訴訟を繰り広げた裁判闘争は、各地の地裁や高裁において19連勝中だった。原爆症認定申請に必要な意見書を書く医師の積極的な姿勢が期待されている。

■政権交代

 8月31日の総選挙で民主党が308議席を獲得し圧勝。民主党は4年に渡る社会保障費2200億円圧縮の廃止を掲げ、後期高齢者医療制度の廃止や医師養成数の1.5倍化、劣悪な勤務医の就業環境改善、5分ルールの廃止などの医療政策を掲げている。その中で中医協メンバーの日医外しを断行。診療報酬のマイナス改定案、突然の診療報酬事業税非課税措置の撤廃など、行政刷新会議による事業区分けで厳しい局面も。

■協会の要望で全国初の在宅歯科医療駐車除外「標章」対象を実現

 在宅歯科医療や訪問看護で使用する車両が駐車違反となるケースが続発し、在宅療養を推進する国の方向性に逆行するトラブルが全国各地で起こっている。埼玉保険医協会では医科のみに発行されていた「駐車禁止除外指定標章」を歯科でも発行するようねばり強く交渉し、要望を実現した。然しながら訪問看護への除外に向けて引き続き交渉を継続したい。

 さて、医療をとりまく政治動向は、オンライン「義務化」問題など今激しく動いている。期待を裏切る事態も進行中であり、年の瀬を迎える中、ますます目が離せない。

2009年12月5日埼玉保険医新聞掲載


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