声明・談話

 埼玉県保険医協会理事会は、TPPへの参加交渉に反対していくことを決めました。
 APECにおいて野田首相は交渉参加を表明しましたが、首相、政府がTPPの交渉参加から撤退することを求め、理事長が別紙の談話を発表しました。
 
2011年11月17日
 
TPPの交渉参加に反対する
TPPは社会システムの統合であり、国民皆保険制度の破綻への道
混合診療の解禁、医療分野の営利市場化、医療崩壊を一層推進をさせるもの
 
埼玉県保険医協会 理事長 大場敏明
2011年11月17日
 
 TPPが医療分野において、様々な影響を及ぼしそうなことが、関連報道で判明してきています。
 日医をはじめ、医療団体が交渉参加に反対を表明した他、農協や各分野からの1100万を超える反対の請願署名、44道県議会、1512市町村議会から「加盟反対」「慎重検討」を求める意見書など、多くの慎重・反対の意見を顧みず、野田首相は実質的にTPPの交渉参加を表明しました。
 
 医療界からあがる、指摘や懸念に対して、政府や民主党執行部は、医療分野を「議論の対象外であり心配の必要はない」と説明していました。が、APEC目前に、混合診療に関して「全面解禁が議論される可能性は排除されない」と公式書面で外務省が公式に説明。厚労省に至っては、米国が公的医療保険制度の自由化を交渉参加国に要求する方針を確認していたにも拘わらず、「交渉の対象外」と、国会や国民を欺く説明をしていたことが判明しています。
 
 これまでも、米国からは、混合診療の全面解禁や営利目的の病院経営容認などが要求されてきた実績があり、TPPに参加をすれば、これらの米国からの要求を、毅然とはねのけることは、困難であることが容易に推察されます。TPPの交渉に参加せず撤退することを求めます。
 
1.TPPは「社会システムの統合」 
 政府は、TPPの問題を、農業分野の問題と矮小化させてきましたが、APECが近づくにつれ、問題は21分野(24項目)と多岐に亘り、農業や医療分野以外においても、不安材料が多数あることが判明しています。関税を撤廃し自由貿易の推進などとも言われますが、TPPは貿易の条件交渉にとどまりません。言ってみれば「社会システムの統合」です。
 このために、保険・金融分野、共済や郵政分野、食の安全基準(遺伝子組換え、残留農薬)、労働基準、公共事業における海外企業の参入、など様々な分野で、市場が開放、統合され、国のかたちが大きく変わることが危惧されます。国民生活に甚大な負の影響を与えることはいうまでもありません。
 
2.米国を相手に公的医療保険制度を守ることが主張できるか 
 参加の危険性ついて、国会で指摘を受けた首相は「国益を損ねてまで参加せず」と表明。また「公的保険制度を失うようなことはしない」とも答弁はしています。しかし、TPPは例外品目を揚げての参加を認めず、市場の完全自由化が求められます。国民皆保険制度を例外扱いとすることを、説得することができるでしょうか。
  米国側が、ハワイでの首相発言を歪めて「すべての物品およびサービスを貿易自由化交渉のテーブルに乗せる」と報じたことについて、日本政府は「そのような発言はしていない」と訂正報道をしています。しかし、米国側はあくまで、報道の解釈は正確で訂正しないとしています。日本政府や首相も「報道の訂正を申し入れるつもりはない」と及び腰です。
 米国との交渉の難しさ、首相の説明通りに、国益を守ることはできないことが早速示されています。
 
3.TPP参加のメリットは不明 
 輸入農産物の増加により食料自給率はさらに低下し、農業分野の衰退が確実視される一方で、経済成長の見通しは不確実です。仮に政府のデータどおりにGDPが成長しても、国外にある工場が日本に戻ってくる保障はありません。国民生活の向上や、正規雇用が増加するなどの見通しは示されていません。国の将来像も見えません。
 米韓FTAでは、米国は7万人の雇用を拡大したとする一方で、韓国は米国での関税撤廃を得ただけで、米国から医薬品や安全基準、保険サービスなど不利な規準を強いられ、大きな反発が起きてます。
 
4.国内法より優先されるTPP協定 
 国内には様々な法律が存在しますが、TPP参加により、TPPの合意ルールが優先されるという、理不尽が強いられます。日本の国内法により、海外の企業や投資家が被害を被った場合には、国際提訴が可能なISD条項が盛り込まれる危険性が指摘されています。さらに、一度、規制を緩和した場合には、後戻りは許されないことにもなるようです。
 このように、TPPに参加すれば、国民皆保険制度を守り、医療分野の営利市場化や混合診療の解禁を阻止することが極めて困難になると考えざるをえません。
 
5.今必要なのは、TPPではない 
 TPPの交渉参加を巡り、民主党内や国会は大きな混乱に陥っています。国民生活にも混乱と不安が拡がってしまっています。首相や政府による人災とさえ言えます。
 今、必要なことはTPPではなく、大震災からの復旧・復興、被災者への支援に全力をあげること、医療や社会保障を充実させる施策です。
 首相、政府にTPPの交渉参加から撤退することを求めます。
 埼玉県保険医協会は、今後も、各分野の団体とも共同して、TPPの参加に反対する取り組みを進めていきます。
以上

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