論壇

アベノミクスはアホノリスク?

さいたま市 松本 光正
 東京都議選の前、六月五日の首相官邸ホームページに『安倍総理「成長戦略第三弾スピーチ」(内外情勢調査会)』というのがある。いつもの安倍総理のスピーチと同じように美辞麗句で飾られた文章である。内容がないという人がいるが、内容はある。あるにはあるが誰にとって内容があるかが問題である。もちろん輸出中心の大企業達にとって内容があるのである。ということは一般庶民、国民にとっては「内容のない」、「ない」どころかますます国民生活を圧迫するひどい内容である。
 この原稿は参議院選挙中に書いてるのであるが、参議院選挙が終わって、果たして与党が圧勝していたら、国民にとって内容のない 『安倍総理「成長戦略第三弾スピーチ」』はどのように運用されるのか、四ッ谷怪談でもないのに背筋がぞっとしてきた。
 安倍氏は二〇年間にわたってデフレが続き日本が深い自信喪失に落ち込んだと、前書きで述べているが、そもそもこの二〇年間の深いデフレを誰が作ったのか?安倍氏を中心とする与党が作り上げてきた結果ではないか。それを国民一人一人が作ったかのような言い方をしている。
 自民党の選挙スローガンに「日本をとりもどす」と言うのがあるが、自分達が壊しておいて他人事のように「とりもどす」は、ないだろうと思うのは私だけではないだろう。そしてこのスピーチは一貫して民間主導で、民間の活力で日本をとりもどすと叫んでいる。国民の基本的な生活を守る物を民間に丸投げした結果、利潤追求の、とんでもないことがあちこちで行われているのは周知の事実である。電気では痛い目にあったし、医療では保健所が町から消え、国公立病院が次々になくなり地域医療に大きな打撃を生んでいる。
 デフレは「地産地消・内需拡大」を忘れて、自社の利潤のみを追求し、日用雑貨、箸や爪楊枝さえ国内で作らず人件費の安い国から輸入し、国内の工場の多くを安い労働力を求めて海外に移し、国民から労働の場を奪った結果が国民の購買力の低下となり貧困を生み出したのではないか。それが、驚くほどの短期間に少子高齢化社会を日本国内に生む元になった。オバマ大統領でさえ「製造業の国内復活」を唱え始めている。先の衆議院選挙では内需を守るためにTPP反対を唱えていたが、昨今は率先してTPP賛成を唱えているのはどういうことだろう。
 TPPは日本国民にとって第三の不平等条約であることは誰の目にも明らかであり、まさに売国奴的発想である。ペリー来航や太平洋戦争後の条約締結ならいざ知らず、この時期に不平等条約はないだろうと思う。多くの輸出大企業にとってはアメリカでの自社製品の販売を優位にするために、躍起になって賛成の世論作りをしているが、これに先導槍持ちの役割をして経団連幹部や米国大統領から頭を撫でられたいのが、安倍氏の本音であろう。
 医療では混合診療を、この時とばかりに推進しようとしている。またレセプトの電子化を、情報の宝と賛美し、儲けのチャンス到来とばかりに小躍りしている。安倍氏には個人情報保護法などと言うのは眼中にないらしい。
 また、世界に誇る国民皆保険制度をなし崩しに弱体化させようとしている。アフラックという保険会社がアヒルを先頭にテレビCMに頻回に出てくる謎が解け出したというものである。まさにアベノミクスはアホノミクスであり、アホノミクス、アホノリスクであろう。
 なに?安倍氏だけが一人笑っているのだから、アベノミクスではなく「安倍のみ、くすっ」だって?こりゃ座布団一枚だ。

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