論壇

国民は税金の使い道にもっと目を光らせよう!
戸田市 福田 純
 先の参院選の前に安倍首相は日銀総裁を黒田氏にすげ替え、デフレ脱却のため、アベノミクスと呼ばれる金融緩和を実施した。これにより為替は急激に円安に誘導され、自動車などのグローバル輸出産業は貿易差益で好展開、株価も上昇した。日経新聞を見れば日本全体の景気が好転するのではと思わせ、庶民の景気回復の期待感を担った結果、自民党は参院選に大勝した。だが、物価高が先行するばかりで、庶民の感じる実体経済とは大きく乖離し、現在に至っている。
 さて、自民党の圧勝により国会の〝ねじれ〟は一気に解消した。ゴルフでもボールをより遠くへ飛ばすには、ねじれた体を一気に解放する必要がある。だが、ただ「遠くに飛ばせばいい」と言うものでない事はゴルフと同じで、肝心なのはその方向性と落とし所であろう。議席数では大勝だが、民意を得た結果ではないことは、戦後最低の投票率と自民の得票数が示している。それらは〝民主党のテイタラク〟で得た〝敵失〟の結果でもあった。
 ただ、兎にも角にも三分の二を超える議席数は現実「数は力なり」である。
 一見、民主的手法を採っているかに見える。各諮問機関等の有識者と呼ばれる専門家の意見を聞いて「適切に運営している」と言っているが、その会議の長や構成員は「○○○ありき」の賛成派が握っている。話し合いの前から出来レースなのである。
 安倍政権下では、現在日本が抱える主要な政策課題はすべからく「○○○ありき」で進められている。「良識の府」とされる参議院も機能しない今、安倍政権の暴走を遮るものは何もない。①消費税増税ありき、②原発推進ありき、③TPP参加ありき、④憲法改定ありき、⑤沖縄基地(オスプレイ配備)ありき等々である。
 ①の消費税増税ありきは、今秋「景気回復がなければ増税しない=景気回復が確認されたら増税する」と同義であるため、否が応でも庶民に好景気感を植え付けさせるためマスコミをも巻き込んで有為的に行っている節がある。
 さて、先の八月六日、社会保障制度改革国民会議が最終報告をまとめた。〝二〇二五年モデル〟として「現役世代の雇用の安定や子育て支援を」と位置づけ、これまでの年金や医療など高齢者向け支援を見直す(削減する)としている。「世代間格差を解消し、応能負担に改める」とも。医療では七〇~七四歳の窓口負担割合を現行一割から二割に引き上げ、介護では要支援者を介護保険のサービスから切り離す等々、改革と称し国民に痛みを伴う負担増を決めている。国民の多くも「仕方ないか」とため息交じりである。
 しかしながらそれでは、そもそも消費税増税は何のためだったのか?を思い出してもらいたい。〝社会保障と税の一体改革〟と称して、増税による増収は「全額、社会保障制度の充実や強化に充てる」として、国民に理解を求めたのではなかったのか。これでは話が違う。増税分は一体何に使われるのか?を注意深く政府方針を見守る必要がある。
 大震災の復興予算が復興とは関係の無い部分に使われもした。消費税増税分で公共事業?と思しき大型公共事業が各地で乱発される様相を呈しており、高速道路や新幹線の延長費さらにリニア中央新幹線の費用など枚挙に暇がない。加えて、先の消費税増税時もそうであったが、与党は増税時に法人税の減税をセットで行っている。それも増税見込み額とほぼ同額の減税を敢行している。
 過去の消費税増税時に上向き加減だった景気は水をさされ内需は低迷、デフレを助長させた。その結果、目論んでいた税収も得られない悪循環から抜け出せず、国民を長らく苦境に貶めた。日本はまた、同じ轍を踏もうとしている。
 国民よ!騙されてはならない。つい数年前、麻生政権下で「百年安心年金」と言っていた年金制度はいつの日の話かを。日本国民は本当に忘れっぽい。思い出そう!でないと政治家にいい様に(だま)されてしまう。政治家や役人に〝税金〟を預けた国民は、もっとその使い道に目を光らせなくてはならない。

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