声明・談話

機関紙部長談話 埼玉保険医新聞五〇〇号を記念して

政治・経済・自然激動の中 公器の役割を果たす

機関紙部長 福田純
 私が保険医協会機関紙部長を拝命してから早一二年が経過した。二〇〇六年二月に四〇〇号、そして今年六月には五〇〇号を迎える。
 この間、世界は大きく変動した。二〇〇八年九月に起きたリーマン・ショック。二〇〇九年春には四〇年ぶりのインフルエンザのパンデミック。失われた二〇年とも言われる長引く日本経済はこの世界的金融危機に巻き込まれ経済は急激に冷え込んだ。
 その不況を引きずる中で起きた政権交代。二〇〇九年八月、戦後五〇余年続いた自民党から民主的な選挙により初めて政権が移った。アジア重視の民主党鳩山政権は表上、沖縄の米軍基地移転問題を処理できずに退陣。これを引き継いだ管・野田政権は同じ党内での交代ではあったが、対米追随路線に大きく舵を切った。そのさなか、未曾有の大震災による大津波に遭遇。岩手・宮城両県は壊滅的打撃を受け、さらに福島県は原発事故にも見舞われた。水素爆発・メルトダウンを起している原発を目の当たりにして、当時の枝野官房長官の「直ちに健康に影響はない」が今は空しい。
 政権運営の稚拙さや国民の期待に答えられない民主党政権は小選挙区制の欠陥も大きく、自民が圧勝。この圧勝が再政権についた安倍政権の暴走の序章となった。今やGlobalizationはAmericanizationと同義となり、多国籍化した大企業の利益は優先され、一般国民の利益は縮小。社会格差は拡大するばかりで、国民の七人に一人が貧困層になっている。
 貧困と医療提供は重要な社会保障の課題であり、政府は消費税を八%に上げ、全額が社会保障費に充てがわれると政府与党は国民に約束した。我々は増税分がしっかりこれらに使われるのか見届けねばならない。皆保険制度があったればこそ、今の日本人の健康長寿が獲得できたことは国民のだれもが認める処である。
 しかし、一九八〇年代からウルグアイラウンドを始めとするアメリカの様々な日本の医療環境への改善要求(無理難題)と一九九〇年代のバブル崩壊後の財務省(旧大蔵省)の医療費削減計画がある。加えて、締結間際であるTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)も皆保険制度を崩す要素を多数内包している。さらに政府与党はTPPの参加にとどまらず、特定秘密保護法の制定、改憲議論も不十分なままの集団的自衛権発動を急いでいる。アメリカの隷属・植民地に成り下がる日米同盟に盲進している安倍首相はかつて「美しい国日本」を唱えていた。然しながら、彼の「美しい」という感性は一般国民と大きく乖離しているようで、日本の将来に暗雲を漂わせている。
 戦後、一度も戦争をしていない国日本。対する米国は史実に明らかになっただけでも複数の偽りの開戦事実を持つ好戦的な国である。ベトナム戦争、イラク戦争しかりである。かつて見た西部劇の構図【インディアンは白人(アメリカ人)に盾つく凶暴な悪者】とのイメージを懐かせる手法は今も変わらない。アメリカの得意とするメディア操作である。CIAの上部組織:米国国家安全保障局(NSA)による違法な情報収集(独メルケル首相の個人携帯にアクセス等)を弄していたことが暴露され国際問題になった。この盗聴事件の対象者は日本の政治家も例外ではないのにまったく問題視されなかった。これはマスコミと政治家の危機意識の欠如と言わざるを得ない。このことは民主国家である日本の存亡を危うくしている。
 さてこのような中で、当協会の機関紙である埼玉保険医新聞の役割は少なからず公器と自覚し、日本の医療環境の改善に努め、またこれらを阻害する勢力に一貫して苦言を呈し、抗う姿勢を貫いてきた。この姿勢が国民の健康に寄与し、ひいては医療に携わる保険医としての信条を保つであろうと確固たる信念を持っている。当協会は今後も皆保険制度瓦解の抵抗勢力として、この姿勢は貫いていく方針である。
 そして、おかげさまでこの間、協会会員数は徐々にかつ確実に右肩上がりに増え、近々四〇〇〇名に達する見込みである。これもひとえに会員のみならず協会にご理解・賛同してくださる方々の不断の活動努力の賜物であろうと、深く感謝申し上げる。
 五〇〇号迄のご愛読に感謝しつつ、これ以降も引き続きご批判ご支援と共にご愛読されます事をお願いする次第である。

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