論壇

クックブックメディシンに陥らない診療を ガイドラインに頼り切りは禁物

久喜市 青木 博美
医療界でもガイドラインが増えてきた
一九九〇年代以降、Ebidence Based Medicineの提唱がされ診療の標準的なフィロソフィーとなってきている。それと共にガイドラインが増えてきた。Mindsでの評価数は二五〇、選定数は一二一ある。ガイドラインは様々だが、概ね「Ebidenceに基づいた診療ガイドライン」を目指している。
治療決断においては、ガイドラインの推奨グレードを参考にするが、推奨グレードは次の要素を勘案して決定されている。
①治療法の有効性を指示するEbidennceの質と数。②臨床効果の大きさ。③研究論文による結論のばらつき。④臨床上の適用性。⑤害やコストに関するEbidence。
ガイドラインを臨床で適用するに当たっては、ガイドラインが推奨する治療法の根拠となっているものは何かを知っていると、応用力が増す。
高血圧ガイドライン2014
埼玉県保険医協会総会記念講演で高血圧ガイドラインについて、濱六郎先生からいくつかの指摘があり、改めてガイドラインにつき考えさせられた。
診療ガイドラインによるクックブックメディシン化、標準化、均てん化
医療情報の膨大化により、個人ですべての最新知見を把握することは困難になっている。一方、最新の知見に基づかない診療は、医療訴訟においては、糾弾される可能性がある。とりあえずガイドライン通りにしていれば良いだろう、という風潮が出てきている。
やや否定的な意味合いを込めて、クックブックメディシン、良いニュアンスを込めて標準化、均てん化などと表現されている。
患者さんもガイドラインを見ている時代
ガイドラインをまとめて見ることのできるサイトは、Mindsなどがある。
これは患者さんも自由にアクセスできるし、公的なものである点で信頼が得られている。この他でもインターネット検索で情報を得ることのできる時代である。患者さんからも「インターネットでは」とか「ガイドラインでは」とか、という言葉も聞かれるようになった。
ガイドラインとは異なる診療を行う場合、ガイドラインとは異なるがその訳はと、説明しなければならない。
ガイドラインの果たす役割は大きい
歯科治療、内視鏡検査時の抗血小板剤、抗凝固剤継続、一時性高血圧へのアダラート舌下投与の中止、軽症急性中耳炎への抗生剤非投与など日々の診療への啓蒙的役割は大きい。
専門分野を外れると、日進月歩の現状を把握できない。パラダイムシフトといわれる関節リウマチ治療の変化。年々進歩する肝炎治療、HIV治療などなど。
これらをガイドラインとして、てっとり早く見ることができる。
ガイドライン+患者特性で診療方針決定
各ガイドラインの「序」に書いてあるが、ガイドラインは標準的治療を示したものとして、目前の患者さんへは、その患者さんの特性に応じて治療を組み立てて行くことが基本である。改めて言うまでもなく日常の診療はこう行われている。ガイドライン通りではなく診療を行うこともあるが、その訳を説明できることが必要である。「ガイドラインではこうだが、あなたの場合はこの治療が良いと思います。その訳は…。」
ガイドラインへの意見のコーナー常設を
ガイドラインの全部を読み、吟味して診療に応用するということは難しい。ガイドラインを鵜呑みにすることは良くないのだが、自分自身で詳細に検討することは難しいのでガイドライン解説に頼ることになる。
解説とあわせて批判的な意見も簡単に読めるコーナーがあれば良いと思う。例えば、記念講演での濱六郎氏のガイドラインへの意見が簡単に読めるようになっていると、自分で考えていく助けになる。

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