声明・談話

元特別医療指導監査官の贈収賄事件の検証と、
指導技官等の資質向上並びに公正運営の徹底を求める

2010年10月18日
 
厚生労働大臣 細川 律夫 様
                                                                      埼玉県保険医協会
理事長  青 山 邦 夫
さいたま市浦和区北浦和4-2-2 アンリツビル5F
Tel 048-824-7130  Fax 048-824-7547
 
元特別医療指導監査官の贈収賄事件の検証と、
指導技官等の資質向上並びに公正運営の徹底を求める
 
 9月25日、厚労省国際年金課課長補佐(元特別医療指導監査官)の住友克敏氏が贈収賄容疑で逮捕された。各社新聞報道によると、コンタクトレンズ業者に対して、指導や監査の対象から免れるための助言、個別指導を受けた場合に社会保険事務局(当時)に対して、処分を受けないよう働きかけをするなど有利に取り計らう約束をして、その見返りに金銭を受け取ったというものである。もし、このことが事実だとすれば、一事務官の裁量が、都道府県の個別指導の選定や運営に大きな影響を与えられる構図があったということになる。
 
 今回の事件はコンタクトレンズ業者が別の事件で逮捕された調査の中で偶然に発覚したもので、厚労省内部での自浄作用が働いたものではない。先の厚労省政策コンテストで向本時夫医療指導管理官の「個別指導に犯罪捜査もどきの強制権を持たせる」という考え方が最終選考に残ったが、贈収賄を見過ごしていた厚労省が、よくも医師を犯罪者扱いした政策を評価したものである。この私案が導入されるようなら贈収賄事件がはびこる可能性もある。
 
 保険医療機関の個別指導を実施する具体的な規定は、指導大綱・監査要綱に則っている。指導大綱で、個別指導は選定基準に沿って選定委員会にて選定を行い、保険診療の取扱い、診療報酬の請求等に関する事項について周知徹底させることを主眼とし、懇切丁寧に行うとされている。官僚の私情で個別指導の運営が左右されてはならない。個別指導は、明確な根拠のもとに選定を行い、医学的、科学的な知識としての裁量を発揮できる指導技官により実施されるべきである。
 
 厚労省は「指導・監査の検証及び再発防止に関する検討チーム」を立ち上げ、第1回の会議が9月30日に開催された。検討チームには公正な観点で、この事件を検証すると共に類似事例の有無、洗い出し点検をすること、さらには個別指導そのものが行政手続法に則ったものとするための見直しも期待する。
 
 以上のことから、今回の事件の検証と、指導技官、事務官及び現場で指導を担当する指導医の資質向上並びに私情に左右されない公正運営の徹底を求める。
                                     以上

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