論壇

改定1カ月 不合理で複雑怪奇な在宅点数の改善が早急な課題

川越市  柴野 雅宏
 診療報酬改定から1カ月が経った。今回の改定は入院から在宅・施設へと出されてくる患者の増加に対応するため、在宅医療を担う医療機関を増やすということだったと思うが、実態は違っている。在宅医療を担ってきた医療機関として、すぐにでも改善が必要な問題点を指摘する。
 第1は、同一建物あるいは施設に入居している患者に対する不合理かつ複雑怪奇な点数が全く変わらず残ったことである。同一建物で診療した患者の一覧表を添付する様式14の廃止は協会、保団連の運動の成果であるが、算定方法が残ったこと自体失望を禁じ得ない。このことだけで在宅医療の新規参入の障壁に十分なり得る。
 第2は在宅患者訪問診療料(以下「訪問診療料」)が条件付きで他の医療機関でも算定できることになったことである。今改定の目玉とされているが、訪問診療は何と月1回しか認められない。本来の主治医が手に負えず専門の医師に依頼せざるを得ない程の疾患に対し、月に一度の訪問診療で有効な治療を行い、治癒できるとは到底考えられない。経過観察の重要性を全く無視しており、在宅がどうというよりも、医療そのものを理解していないと思える。
 同月に2回目以降も診察が必要となれば、往診しかない。今改定で往診の定義が厳しくなり、患者本人あるいはその家族の依頼がなければ1回目の往診は算定できない。医師の判断で月の途中に経過観察することはできない状態になっている。
 点数の算定にも矛盾が出ている。初回、患者の状況を確認するため、対診として主治医と同行した場合、往診料+初診料で1002点となるが、専門診療科の医師として訪問診療料を算定するため、家族の同意やカルテ、レセプト記載は主治医と同じ手間が掛かる。しかし、算定できる点数は主治医より3点低い830点であり、整合性が全くとれていない。
 第3は、医療機関に併設する施設を対象とした訪問診療料が新設されたことである。併設の定義が曖昧で、またしても医学的には全く関係がない。隣の土地にある場合とコンビニ一軒挟んだ場合と何が違うのか。もういい加減不合理な算定方式はやめてもらいたい。
 第4は、癌患者に対する酸素療法の問題である。小生は、これが今改定最大の問題であり、他とは比較にならない程影響が大きいと思っている。癌による呼吸不全の患者に対する酸素療法加算(2000点)が新設、その一方で在宅酸素療法指導管理料、及び関連する加算が算定できないとされた。場合によっては1万点近く医療機関の持ち出しとなり得る。
 更に問題だと思うのは小生の解釈であるが、在宅酸素療法指導管理料の算定要件が「安定した病態にある患者」となっていることである。肺癌や転移性肺癌で高度な慢性呼吸不全状態の患者を受け持ってから亡くなるまで短期間の場合は、安定した状態でないとされる可能性がある。
 例えば4月25日に在宅医療を始めて5月2日に亡くなった場合、酸素療法加算は5月で請求、4月の酸素療法に係る費用はすべて持ちだしとなってしまうのか?まして3~4カ月の経過を辿っても癌の末期で不安定と判断されれば、それだけ多額の持ち出しになる。医療機関によっては大打撃となる可能性があり、今後の取扱いについて注意すると共に、必要な医療の診療報酬は算定できるようにしなければならない。
 不合理な点数設定の、在宅時医学総合管理料の単一建物居住者の区分も残っている。
 第5の問題は、とにかく告示・通知の発出が遅すぎる。4月から算定開始するのに発出は3月半ばである。入所している介護施設により異なる算定方法が示される「医療と介護の給付調整通知」に関しては、3月の末である。何の冗談かと言わざるを得ない。
 ここまで指摘してきた問題点も、本来なら4月施行前に解決しておかなければいけないものだと思っている。不合理是正を早急に改善させると共に、告示通知の発出から施行までの期間を充分にとることなど、次期改定まで運動していきたい。

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