大逆転で逆転「無罪」判決が確定! 特養ホームあずみの里「業務上過失致死」事件
おやつに形態確認は介護の予見可能性を問えない

2020年9月14日
 7月28日に協会が支援をしてきた「「特養あずみの里」業務上過失致死事件」の控訴審で東京高裁(大熊一之裁判長)が逆転「無罪」判決をくだしました。
 その後、東京高検は上告期限の8月11日に「上告を断念した」と発表。
これにより2015年から約6年間、有罪に問われていた准看護師のYさんの無罪が確定しました。
 高裁判決は、一審判決を全面的に覆す大逆転判決といえるものであり、かつ介護の業務実態に即したものとなりました。介護関係者の委縮を払拭し、安心して介護を提供できるようになる貴重な判決と評価できるものです。
 多数の会員や関係者からの無罪要請署名へのご協力をいただきましたことに感謝を申し上げます。多くの法定外の支援活動、ご協力が、本裁判の勝訴の後押しになったことは間違いありません。重ねて感謝申しあけます。
 以下に、本裁判の判決全文、弁護団の声明、Yさんのコメント、などをご紹介します。また、保険医新聞掲載の記事を抜粋してご紹介いたします。
◆ 控訴審判決全文 (PDF)
◆ 弁護団声明   (PDF)
  特養あずみの里事件の東京高裁判決確定にあたって~特養あずみの里事件弁護団声明・2020年8月12日

無罪判決確定を受けたYさんのコメント
無罪確定の記者会見(8月12日)より

 改めて、お亡くなりになった方のご冥福をお祈りいたします。
 無罪の判決が確定して良かったです。ほっとした気持ちです。私は看護師として、心を込めて利用者のお世話をしてきました。(今回の事故発生時には)婦長さんをはじめ皆で力を合わせて必死に救命処置をしました。それなのに、事実をねじ曲げられ、罪人扱いされ、裁判の度に被告人と呼ばれました。急変の現場となった食堂に近付くのが恐く、精神的に追い詰められて、一時も忘れる事はできませんでした。
 「その人らしく生きる事」ができる様、その人に合わせた介護をしていく事が大切だと思っています。しかし一審で有罪判決が出た事で、安全重視の介護となり、利用者さんの食べたい物も食べさせられない。おやつもやめてしまう、施設の料理もやめてしまう事例が増えました。
 これでは利用者さんの楽しみも奪ってしまいます。
 全国から弁護士さんを含む沢山の方々から応援のメッセージや無罪を求める署名をいただきました。本当に勇気づけられました。ありがとうございました。
 介護の仕事は、大変な事も多いですが入所者さんの笑顔を見られるし、沢山のやり甲斐を感じる仕事だと思っています。この仕事に誇りをもって、「あずみの里」で働く同僚達と一緒に頑張っていければと思います。ありがとうございました。

■埼玉保険医新聞9月5日号より
7月28日逆転無罪が報告された東京高裁前 (提供: 国民救援会)

協会に届いた会員からの上告断念を求める要請署名
多数の支援と上告断念
 協会理事会では無罪判決が出された直後の7月29日に「上告断念を求める要請」を東京高等検察庁に提出した。また、これまでに協力を寄せてきた会員らにも同要請書への協力を求め、上告期限前の締め切り日までに寄せられた128人の会員(182筆)の署名も提出した。
 介護中の急変で、故意ではない事案にもかかわらず、介護施設の職員個人の刑事責任が問われる異例の裁判であった。今回の裁判は「介護現場の萎縮を招きかねない」とし、協会を含む医療関係者、介護関係者らが支援をしてきた。
 多数の「上告断念」要請書には、協会が協力した他、全国4500の団体から協力があった。一審と二審を通じ「無罪を求める要請署名」は73万筆も集約がされた。多数からの支援活動は社会的な関心も高め、本裁判の「無罪判決」は、テレビニュースをはじめ、新聞各紙が一面で報じた。

一審判決や検察の主張を全面的に覆した判決
 一審で、元々検察側が起訴時に主張していたのは「誤嚥がないよう動静を注視し窒息等を未然に防止すべき業務上の注意義務があるところ」「注視を怠り」「ドーナツを誤嚥・窒息させた」という「注視義務違反」であった。しかし「注視義務違反」では有罪に問えないと判断した検察側は、裁判から一年半後に、提供したおやつの形態を確認せずにゼリーでなく、ドーナツを配膳したことを「おやつの形態確認義務違反」として有罪理由の追加(訴因変更)を行い、一審の判決はそのことを理由に有罪としていた。
 控訴審判決で東京高裁は、一審の判断を「重大な問題があり是認できない」とし、おやつの形態を確認する前に、「ドーナツで窒息死する危険性」「死亡する」可能性までは予見すること(予見可能性)は、刑法上の注意義務に問えないと判断した。
異例の「破棄自判」
 高裁判決は、一審の有罪判決を棄却するのみでも足りるところ敢えて「無罪を言い渡す」と付言された。起訴から約六年「被告人」とされていた准看護師Yさんに対し、初めて裁判所から「無罪」であることが宣言された。前判決を破棄したうえで、裁判所自らが判断を述べる「破棄自判」は大変に珍しく、刑事事件における高裁の破棄自判で無罪とされる割合は一%にも満たない。

判決の教訓
 今回の事件を教訓として、介護現場の処遇改善などにより深刻なマンパワー不足や激しい人の入れ替わりなどを克服できるよう制度を改善させていくことが至急に求められている。

ずさんな捜査と起訴、一審判決
 八月十二日の記者会見で弁護団からは、あずみの里で記録されている看介護記録が事件で悪用されたことが紹介された。
 介護記録を警察が利用して「お前が犯人だ」というように捜査の対象にされ、刑事裁判として起訴されていった経過があったことが紹介された。さらに、一審で有罪判決が出され、ずさんな捜査と起訴に大きな問題があったことを指摘した。
 

逆転「無罪」判決に! 特養ホームあずみの里「業務上過失致死」事件
上告断念を求める要請署名にご協力ください

2020年7月29日

あのイーハトーヴォのすきとおった風、夏でも底に冷たさをもつ青いそら、うつくしい森で飾られたモリーオ市、郊外のぎらぎらひかる草の波。
Lorem Ipsum is simply dummy text of the printing and typesetting industry.

 協会が「介護や医療現場を萎縮させる裁判」として支援協力をしてきた「特養『あずみの里』業務上過失致死事件」の刑事裁判の高裁判決が2020年7月28日に出されました。

 2019年の一審判決で松本地裁は、①入所者が亡くなった原因は窒息死であった、②間食はドーナツでなくゼリー系を与えるという確認義務に違反したとし、亡くなった入所者にドーナツを提供した准看護師を有罪とし罰金20万円が言い渡していました。

 この日、東京高裁(大熊一之裁判長)は、「一審は死因が窒息死だったのか否かを十分に検討していない」「仮に窒息死だったとしても、被告に責任はない」として一審有罪判決を破棄。「無罪」の判決をくだしました。

 これまで多数の方々にご支援のおかげで、今回逆転無罪を勝ち取ることができました。心より感謝申し上げます。この判決を確定させるためには、東京高等検察庁がこの無罪判決を認めて、最高裁への上告を諦めなければなりません。

 無罪を勝ち取る会では、検察に上告断念を決断させるため、「長野・特養あずみの里業務上過失致死事件の上告を断念するよう強く求める」要請署名に取り組むとのことです。

 埼玉県保険医協会でも、要請署名に取り組みます。以下から署名用紙を印刷し、協会までファックスしてください。〆切は8月6日です。短期間で恐縮ですが、多数の方のご協力をお待ちしています。

 送信先 FAX 048-824-7547
 

あずみの里控訴審 裁判期日が再延期に 6月→7月28日(火)に変更  東京高裁

2020年6月30日
6月16日(火)に予定されていた公判は再度「延期」され、
7月28日(火)15:00~ になりました。

引き続きのご支援をよろしくお願いします。
 

「特養あずみの里業務上過失致死事件で無罪を勝ち取る会」が
YouTubeで事件と裁判の問題点を解説しています。

2020年6月3日
特養あずみの里 業務上過失致死事件裁判とは? YouTube 17分

是非ご視聴、拡散ください

あずみの里控訴審 判決期日が延期に 4月→6月16日(火)に変更  東京高裁

2020年4月20日
4月23日(木)に予定されていた公判は「延期」され、
6月16日(火)15:00~ 東京高裁 になりました。

それに伴い、ネット署名の取り組みも6月15日まで延長されました。
引き続きのご支援をよろしくお願いします。


◆無罪を勝ち取る会のニュース No.27
◆ネット署名 Change.org
 特養あずみの里刑事裁判で、死因が脳梗塞であるという医学的証拠に目を向けて、無罪判決を出してください。

あずみの里控訴審 判決期日は4月23日(木)に決定  東京高裁

2020年4月2日
 2019年3月に1審が有罪判決となりその後、昨夏より控訴審が始まりました。今年1月30日には、被告側から無罪を証明する医師の鑑定書などが証拠として提出されたものの、東京高裁はこれらを却下し結審となっていました(以下の埼玉保険医新聞記事を参照)。
 先頃「無罪を勝ち取る会」から今月23日が判決の期日と決定したことが報告されてまいりましたのでお知らせいたします。
 以下に「無罪を勝ち取る会」のニュースをご紹介します。
 また、公正な裁判を求めるネット署名も行われていますのでご紹介します。
◆ネット署名 Change.org
 特養あずみの里刑事裁判で、死因が脳梗塞であるという医学的証拠に目を向けて、無罪判決を出してください。

あずみの里控訴審即日結審 東京高裁
窒息死を否定する医師鑑定書3通採用せずに結審
弁護団の異議認めず

埼玉保険医新聞 2020年3月5日号
 協会が支援をしてきている「特養あずみの里」の第一回控訴審公判が1月30日に東京高裁で開かれたが、弁護側から新たに提出した医師3人の鑑定書を大熊一之裁判長らは証拠として採用することなく即日結審となった。
 本件は1審で、特養入所者の間食に准看護師が誤ってドーナツを提供したとして業務上過失致死罪に問われていた。判決では、①入所者が亡くなった原因は窒息死であった、②間食はドーナツでなくゼリー系を与えるという確認義務に違反したとし、亡くなった入所者にドーナツを提供した准看護師を有罪とし罰金20万円が言い渡されていた。
 控訴審で弁護側は、死因を「ドーナツを詰まらせた窒息死でなかった」「脳梗塞によるもの」とする医師3人の鑑定書を新たに証拠として提出した他、医師らの証人尋問などを求め、准看護師がドーナツを提供したことは業務上過失致死罪に当たらないこと、入所者の死因は、ドーナツを詰まらせたことによる窒息死でなく、脳梗塞であった、と主張した。
 検察側は死因については「1審で議論を尽くしている」とし、証拠採用の「必要なし」とした。
 裁判長が弁護側が新たに提出した証拠のほとんどを却下するとしたため、弁護側から再三異議や訴訟指揮が不公平であると忌避を申し立てたが、裁判長はいずれも却下。公判が中断する事態となったが、再開後に判決日が示されないまま結審という酷い裁判となった。
 この日は25人分の傍聴席を求めて375人が列を作ったが、その他にも多くの支援者が東京高裁周辺に集まり裁判を見守った。
 公判終了後に開かれた報告集会には支援者500人が集まり、木嶋弁護団長他、弁護団からの法廷の様子の報告を受けた。

 支援する会では、「公判再開の要請」や緊急抗議電報、はがきを呼びかけ、従来から取り組んでいる「無罪を求める要請書」に引き続き取り組むとしている。協会も「公判再開を求める要請」を東京高裁宛てに提出した他、支援する会と共同していく。
控訴審の報告がされた集会
死因についての医学者の見解
 

控訴趣意書と署名を高裁に提出

埼玉保険医新聞2019年9月5日号より
 8月30日、特養あずみの里の刑事裁判を支援する「中央連絡会」(保団連も加盟)と「無罪を勝ち取る会」は、東京高裁に控訴趣意書を提出した。
 併せて、全国から集められた「控訴審で無罪を求める要請書署名」を東京高裁に提出した。埼玉協会からもこの日までに会員から届いた104筆の署名を提出した。

 その後に開催された報告会には120人程の支援者が参加。弁護団から控訴審裁判で指摘していく一審判決の問題点の報告を受けるとともに今後の裁判見通しなどを確認した。埼玉協会からは、青山副理事長が参加した。

裁判支援に関する情報提供

支援する裁判の弁護団団長による寄稿が雑誌に掲載されていました。弁護士と雑誌社のご了解を得ましたので紹介いたします。

雑誌「社会保障」夏号より

特養あずみの里裁判~有罪の不当判決

弁護士 木嶋日出夫
 2019年3月25日、長野地裁松本支部は、特別養護老人ホームあずみの里で入所者の女性Kさん(当時85歳)がおやつのドーナツを食べて意識喪失しその後死亡した件で、准看護師Yさんに対して、業務上過失致死有罪判決(罰金20万円)を言い渡しました。Yさんと弁護団は、これに対し即日、東京高等裁判所に控訴しました。

1 ドーナツによる窒息との認定は、客観的事実に反し、医学的に説明できないもの
 判決は、Kさんは、ドーナツを喉頭ないし気管内に詰まらせて窒息し、心肺停止になったと認定しました。
 判決は、Kさんは、嚥下障害はないが自歯も義歯もなく丸のみの傾向があり、それは窒息の可能性を高める事実だといい、本件ドーナツは、Kさんにとって、窒息を生じさせる可能性がある食物だといいます。そして、Kさんがドーナツを食べた直後に、呼吸停止の状態で発見され、YさんがKさんを背部叩打し、口腔内からドーナツ片を取り出し、心臓マッサージと酸素吸入をしたところ一度息を吐き出し、チアノーゼが回復したという事実経過は、窒息と整合するというのです。
 しかし、この判決は、客観的事実に反し、医学的にも合理的説明ができない、推測と独断を重ねたものと言わなければなりません。
人体図(最終弁論から抜粋)

人体図(最終弁論から抜粋)

 第1に、窒息と認めるためには、Kさんの気道を閉塞させる塞栓物質がなければなりません。しかし、本件にはそれがなかったのです。証拠上認められるドーナツ片は、救急隊が声門前に喉頭鏡で見た1㎝角のドーナツ片とYさんらがKさんの舌の上から指で掻き出したドーナツ片だけでした。それでは、Kさんの気道は閉塞されず、窒息は起きません。ところが判決は、背部叩打のとき「Kさんの頭部は一定程度低くなっていたものと推認できる」と何の証拠もなく推測し、舌の上から掻き出されたドーナツ片は、背部叩打によって気道から出てきたものだというのです。
 第2に、咳嗽反射や窒息サインがなかったことについては、高齢者には咳嗽反射が起きないことも考えられる、あったとしても気づかなかった可能性があるとします。
しかし、Kさんは咳嗽反射する力はあり、Yさんは、Kさんからわずか60㎝しか離れていないところに座っていたのです。
 その他、Kさんの特性やドーナツの物性についての判断、窒息と意識喪失・心肺停止との医学的機序等、どれも客観的事実の裏付けのない単なる推認にすぎません。

2 注視義務は否定したが、おやつ形態確認義務を肯定して過失を認定
 判決は、検察官が当初起訴した注視義務違反は否定しましたが、訴因変更によって追加されたおやつ形態確認義務を肯定して、Yさんに過失ありとしました。
 注視義務について、判決は、食堂に17人の利用者がいた中で、食事全介助の利用者にスプーンでゼリーを食べさせていたYさんが、「嚥下障害がなく窒息の危険が高いといい得るような事態は生じていなかったKさん」を特別注視しなければならない存在であると認識することは困難であったと認め、注視義務懈怠を否定しました。
 ところが、判決は、おやつ形態確認義務については、ゼリー系のおやつを配膳すべき利用者に常菜系のおやつ( ドーナツ)を提供した場合、誤嚥・窒息等により、利用者に死亡の結果が生じることは十分に予見できたとしたうえで、申し送り・利用者チェック表にKさんのおやつ変更が記載されていたのだから、看護師は、少なくとも勤務の度に、各チームの申し送り・利用者チェック表を遡って確認し、その変更の有無を確認すべきだというのです。
 しかし、特養あずみの里では、介護職員が記録・確認する申し送り・利用者チェック表を、看護職であるYさんが見る業務体制になっていませんでした。そのようなことは、介護施設の現場では、到底不可能なことです。しかも、Kさんの異変発生6日前の「おやつのみの形態変更」は、嘔吐対策であり、誤嚥・窒息対策ではなかったのです。それは、朝昼夕の3食が「刻み」のままとされたことからも明らかです。
 判決が、注視義務については「Kさんには、嚥下障害がなく窒息の危険が高いといい得るような事態は生じていなかった」と認めながら、おやつ形態確認義務については「ゼリー系のおやつを配膳すべき利用者に常菜系のおやつ(ドーナツ)を提供した場合、誤嚥・窒息等により、利用者に死亡の結果が生じることは十分に予見できた」と認定していることは、論理矛盾のきわみと言わねばなりません。

3 介護の未来がかかった裁判―東京高裁で無罪判決を
 判決結果は、全国各地の介護現場に大きな衝撃を与えており「これでは、介護は萎縮し、高齢者の希望にそった介護は出来なくなる」との不安の声が広がっています。
 マスコミも判決に批判的であり、「どの施設でも起こり得る事故が職員個々の刑事罰につながれば、ただでさえ足りない介護の担い手の確保が一層困難になりかねない」と警鐘を鳴らしています。
 この裁判は、わが国の介護の未来がかかった重大な裁判になっています。
 東京高等裁判所での控訴審で、第1審判決を取り消させ、きっぱりとした無罪判決を勝ち取るため、Yさんと弁護団は一層力を尽くす決意です
 

介護や医療現場を萎縮させる不当判決を覆しましょう
特養老人ホームあずみの里「業務上過失致死」事件
東京高裁における無罪を求める要請にご協力ください

 埼玉県保険医協会では、2017年より、特養「あずみの里」の業務上過失致死事件裁判の無罪を勝ち取る会に団体加入し、協会会員の皆様方に裁判支援として「無罪を求める要請書」への署名協力を呼び掛けてまいりました。
 残念ながら、2019年3月に長野地裁松本支部は「有罪」との不当判決を下しました。これに対して被告の准看護師や弁護団らは即時控訴の意向を示し、2019年秋から東京高裁においてい控訴審が争われていく見通しとなっています。
 協会の理事会では、この裁判が被告個人に不当な汚名を着せられる問題と、何よりも介護や医療の現場を萎縮させてはならないという、大義のために、引き続き裁判の支援活動を続けていくことといたしました。
 つきましては会員の皆様方や関係者する多くの皆様方に、改めまして「無罪要請書」の署名にご協力をお願いする次第です。
 集められた署名は東京高裁に提出される予定です。埼玉協会では一審の支援では1474筆のご協力をいただきました。
 今回の取り組みでは前回以上に、本事件を周知しながら署名のご協力もお願いしてまいります。
 既に、会員の皆様方には月刊保団連8月号と同封して「控訴審で無罪を求める要請書」と、無罪を勝ち取る会が作成した本事件の不当性をご理解いただけるパンフレットをお送りしています。
 要請書にご署名のうえ協会までお送りくださいますようお願いいたします。
 なお、待合室等で「無罪要請書」をご紹介いただける方は先の送付物にある追加注文書で申込を受け付けている他、埼玉県保険医協会の事務局までご連絡をいただければ物品をお送りいたします。
 下記PDFデータのプリントアウトもご利用ください。
◆ポスター( 青 ・ 水色 ・ ピンク ・ 緑 )

不当判決に
特養ホームあずみの里「業務上過失致死」事件
即日控訴へ

埼玉保険医新聞5月5日号より
 協会が「介護や医療現場を萎縮させる裁判」として支援協力をしてきた「特養『あずみの里』業務上過失致死事件」の刑事裁判の判決が2019年3月25日に出された。
 裁判は2013年に長野県安曇野市の特養ホームで、おやつのドーナツを食べた女性が直後に意識を失い、その後に死亡した問題について「注視義務などを怠った」として業務上過失致死罪が問われていた。
 長野地裁松本支部は、准看護師に対して求刑どおり「罰金20万円」の有罪という不当判決を言い渡した。弁護団は即日に控訴した。今後は東京高裁において控訴審が闘われていく。
◇起訴時の理由「注視義務の違反」なし
 裁判の報告集会で弁護団長の木嶋日出夫弁護士は「①窒息であることを認め、②おやつにゼリーでなくドーナツを配ったことを過失した」と判決理由を説明しつつ、「証拠を正しく認定していない、結論づけも間違っている。不当な判決」と判決結果を批判した。
 判決は准看護師に対し「見守りを怠ったという注意義務違反はない」とし、元々の検察側の主張は退けた。しかしながら、後から検察側が追加した主張を適用して有罪とした。
 元々検察側が起訴時に主張していたのは「誤嚥がないよう動静を注視し窒息等を未然に防止すべき業務上の注意義務があるところ」「注視を怠り」「ドーナツを誤嚥・窒息させた」というものであった。
 ところが、裁判から1年半後に、検察側は提供したおやつの形態を確認せずにドーナツを配膳したことを「おやつの形態確認義務違反」として有罪理由の追加(訴因変更)を行った。
 裁判の渦中で、有罪の理由を追加(訴因変更)することは異例のことであるという。検察の訴因変更がなければ有罪判決とはならなかった可能性もあったといえよう。
◇引き続き支援を
 埼玉県保険医協会は、無罪要請署名の協力を協会会員に呼び掛け、これまで225人より1474筆を集約して無罪を勝ち取る会に届けてきた。全国では約45万筆の署名が集められていた。
 今後は東京高裁で控訴審が争われるが、理事会では支援を継続することとし、会員に東京高裁宛「無罪要請」署名の協力を呼び掛けていく。
 

特養ホームあずみの里
「業務上過失致死」事件の裁判が2019年3月25日に判決
無罪要請書への協力を

2019年2月5日
 協会で協力している、特養「あずみの里」業務上過失致死事件の「無罪を勝ち取る会」によると、刑事裁判はまもなく4年にもなるが、いよいよ3月25日に判決を迎えます。
 裁判は「業務上過失致死罪」に相当する義務違反行為があったか、もう1点は亡くなった原因がドーナツの誤嚥による窒息死だったのか、この2点が大きな争点でした。
 検察側の起訴状は、義務違反行為として、亡くなった女性が間食のドーナツを口内に詰め込むなどして窒息しないよう動静を注視し、窒息事故を未然に防ぐ注意義務があったにも拘わらず、注意を怠ったことをあげ、窒息死をさせたというものでした(注視義務違反)。

◇二度も訴因変更
 裁判は途中で、検察側から2度も「訴因変更」を申立てるという異常な経過で進みました。「訴因」とは法に基づき具体的に特定した「罪となるべき事実」のことです。 
 裁判から一年半後、間食にゼリーでなくドーナツを配食したことが注意義務違反である、との主張を追加しました(間食形態確認義務違反)。
 さらに裁判から3年4カ月後、看護職員の注視義務の開始時期を、亡くなった女性の「テーブルに着席した時から」としてきたものを、「ドーナツを配膳した時」からと、大幅に前倒しする主張も追加しました。一方でそもそも死因が窒息死であったかは確認されませんでした。

◇求刑は20万円
 2018年10月の公判で検察側の求刑は罰金20万円。懲役刑や禁固刑を科すこともできることからすれば、求刑が軽くなったことは、社会的悪性がなく責任も重くない事案だったことを検察側が認めたともいえますが、刑事事件で罰金を払うことは「有罪」「前科」となります。
 異変が起きる都度、職員が業務上過失で処罰されれば、介護現場が萎縮することは間違いありません。
 協会では3月の判決日を控え、本裁判の無罪を求める要請署名の協力を改めて呼びかけています。
 署名用紙は協会のホームページよりダウンロードしてください。
 協会事務局まで電話で必要枚数を連絡いただければ送付もいたします。要請書は19年2月末まで集約し、裁判所に提出をしていきます。
 

あずみの里裁判の無罪要請の取り組み
協会会員で集めた要請書を提出

埼玉保険医新聞2018年2月号より
 協会では昨年の秋より、特養ホーム「あずみの里」業務上過失致死事件の「無罪を勝ち取る会」に団体加入し、この取り組みに協力をしてきている。
 9月以降、研究会やセミナー出席者にも「無罪判決を求める要請署名」の協力を呼び掛けてきたところであるが、11月末までに寄せられたものを一旦集約し、「1070筆」の署名を支援する会に届けた。この署名に協力いただいた会員は130人。介護施設職員に対する不当逮捕を許さないという多数の想いが寄せられた。
 無罪要請書は、現在も集約している。協力いただける会員は事務局までご連絡いただくか、協会ホームページより用紙をダウンロードの上、署名の集約をお願いしたい。

裁判の概要経過

 この裁判は、長野県の特養施設「あずみの里」に入所する85歳女性が亡くなった問題を検察が刑事事件化したことで争われている。
 2013年12月、食堂でおやつのドーナツを提供されていた女性が、ぐったりと意識を失っているところを介護職員に発見され、病院に救急搬送されるが、翌月、女性は意識が戻らないまま入院先で亡くなった。
 この件を検察は「誤嚥がないよう動静を注視し窒息等を未然に防止すべき業務上の注意義務があるところ」「注視を怠り」「ドーナツを誤嚥・窒息させ」「心肺停止に陥らせ、低酸素脳症にて死亡させた」とし、食堂で女性の最寄りにいた准看護師を起訴したものである。
 2015年より裁判が開始し、弁護団は「准看護師は当日やむを得ず他の職員に変わり支援に入った」「准看護師は隣の利用者介助をしていた。注意義務違反といえない」「女性の口腔・咽頭・気管には塞栓物質は認められず」「女性は誤嚥・窒息はしていない」として「准看護師の行為と女性の死亡に因果関係はない」ことを法廷で主張している。
 検察側は2016年に入り、裁判途中から、提供したおやつの形態を確認せずにドーナツを配膳したことを「おやつの形態確認義務違反」として、訴訟の原因を追加している。

公判の状況

 12月13日に、第12回公判が長野地裁松本支部で開かれた。公判の様子は次号以降で紹介する予定。
 次回の公判は2月19日で、被告本人である准看護師の尋問が終日予定されている。協会からは引き続き「無罪を勝ち取る会」と被告となっている准看護師に支援の声を伝えていく。

会員らが集めた無罪要請書


◆本事件の概要は次のとおりです。

特養老人ホーム「あずみの里」における業務上過失致死事件 概要と解説

「無罪を勝ち取る会」ニュースより編集  埼玉県保険医協会
2013年
12月
  • 長野県の特養施設「あずみの里」に入所する85歳女性。食堂でおやつのドーナツを提供され、ぐったりと意識を失っているところを介護職員に発見され、病院に救急搬送される。
2014年
1月
  • 女性は意識が戻らないまま入院先で亡くなる。
  • 警察による施設への捜査が始まる。
2月
  • 遺族と施設で示談が成立。
12月
  • 検察は被告とされている准看護師を在宅起訴。
    「誤嚥がないよう動静を注視し窒息等を未然に防止すべき業務上の注意義務があるところ」「注視を怠り」「ドーナツを誤嚥・窒息させ」「心肺停止に陥らせ、低酸素脳症にて死亡させた」とした。
 亡くなった女性は、自立して食事ができるが、義歯がなく食べるペースが早く、介護職員 が箸を使用させたり、食べ物を小分けにする等、食事ペースを調整されていた。
 女性が異変を起こした当日、おやつ担当の介護職員は2人だったが、1人の介護職員は他 の入所者の排泄介助が長引き食堂に来るのが遅れたため、起訴された准看護師がおやつ介助の応援に入る。
 准看護師は女性の隣で、食事全介助の男性入所者におやつのゼリーを提供していた。
2015年
  • 裁判開始。弁護団は「准看護師は当日やむを得ず他の職員に変わり支援に入った」
    「准看護師は隣の利用者介助をしていた。注意義務違反といえない」
    「女性の口腔・咽頭・気管には塞栓物質は認められず」
    「女性は誤嚥・窒息はしていない」
    「准看護師の行為と女性の死亡に因果関係はない」ことを主張
2016年
  • 裁判途中から、検察側は、提供したおやつの形態を確認せずにドーナツを配膳したことを「おやつの形態確認義務違反」として、訴訟の原因が追加されている。

事 件 の 解 説  ~大野病院事件のように現場を萎縮させかねない~

(1)裁判では、死亡原因がドーナツによる窒息であったのか明らかにされていません。弁護側が具体的に現場の再現を行い「注意義務違反」が認められないことを明らかにすると、検察側は裁判の途中から、訴訟原因を追加し、何があろうと有罪判決をとろうという執念を見せています。
(2)今回のように刑事事件として起訴することは、特定の職員を犯罪者として施設内の死亡事故の責任を追及することになります。介護現場の実態を無視した極めて乱暴なものです。
(3)この事件は2006年に福島県立大野病院で、産婦人科医が逮捕された事件を思い起こします。「大野病院事件」は後の裁判で無罪が確定しましたが、医師は数年にわたり休職を余儀なくされました。また「医療崩壊」といわれる状況のきっかけとなったことは記憶に新しいところです。
(4)医療や介護の現場において、特に、障害やいくつかの疾患をもった高齢者が突然に最期の日を迎えることはありえます。医療・介護の担当者、従事者を刑事事件として逮捕、起訴することを容認すれば、今後の医療・介護の現場が著しく萎縮することは明らかです。介護職員の働き手はさらに少なくなるでしょう。施設は危険回避のために、入所利用者の選択を厳格に行い、介護事故につながる可能性の高い利用者を避け、誤嚥や窒息の回避のために安易な流動食への切り替え、ベッドからの転落防止のための拘束などの対策が強いられます。
(5)今回の事件は、全国どこの介護施設や医療機関等でも起こりえることで、被告である准看護師や当該介護施設だけの問題にとどまりません。
(6)明日の、そして未来の医療・介護を守るためにも、この裁判で無罪を勝ち取ることが必要です。「無罪を勝ち取る会」では、この夏から新たな署名に取り組んでいます。埼玉県保険医協会も「無罪を求める要請書」への署名協力を呼びかけます。
以上

埼玉県保険医協会 Copyright © hokeni kyoukai. All rights reserved.

〒330-0074 埼玉県さいたま市浦和区北浦和4-2-2アンリツビル5F TEL:048-824-7130 FAX:048-824-7547