特養老人ホームあずみの里「業務上過失致死」事件の
無罪を求める要請にご協力ください

 埼玉県保険医協会では、2017年7月理事会で、特養「あずみの里」の准看護師を被告とする刑事裁判の「無罪を勝ち取る会」へ団体加入することと、協会会員にも裁判支援を呼び掛け「無罪を求める要請書」への署名協力を求めていくことを決めました。
 署名は今年度内に20万筆を集めることを目標に取り組まれており、集められた署名は長野地裁に提出される予定です。既に会員の皆様には、月刊保団連9月号と同封して「無罪を求める要請書」をお送りしています。
 要請書にご署名のうえ協会までお送りくださいますようお願いいたします。
 なお、待合室等で本要請書や掲示物をご活用、ご紹介いただける方は、下記PDFデータをプリントアウトのうえご利用いただくか、埼玉県保険医協会の事務局までご連絡をいただければ、物品をお送りいたします。
 多数の方に、本事件、問題点を紹介のうえ署名に協力くださいますようお願いいたします。
◆ポスター( 青 ・ 水色 ・ ピンク ・ 緑 )

あずみの里裁判の無罪要請の取り組み
協会会員で集めた要請書を提出

埼玉保険医新聞2018年2月号より
 協会では昨年の秋より、特養ホーム「あずみの里」業務上過失致死事件の「無罪を勝ち取る会」に団体加入し、この取り組みに協力をしてきている。
 9月以降、研究会やセミナー出席者にも「無罪判決を求める要請署名」の協力を呼び掛けてきたところであるが、11月末までに寄せられたものを一旦集約し、「1070筆」の署名を支援する会に届けた。この署名に協力いただいた会員は130人。介護施設職員に対する不当逮捕を許さないという多数の想いが寄せられた。
 無罪要請書は、現在も集約している。協力いただける会員は事務局までご連絡いただくか、協会ホームページより用紙をダウンロードの上、署名の集約をお願いしたい。

裁判の概要経過

 この裁判は、長野県の特養施設「あずみの里」に入所する85歳女性が亡くなった問題を検察が刑事事件化したことで争われている。
 2013年12月、食堂でおやつのドーナツを提供されていた女性が、ぐったりと意識を失っているところを介護職員に発見され、病院に救急搬送されるが、翌月、女性は意識が戻らないまま入院先で亡くなった。
 この件を検察は「誤嚥がないよう動静を注視し窒息等を未然に防止すべき業務上の注意義務があるところ」「注視を怠り」「ドーナツを誤嚥・窒息させ」「心肺停止に陥らせ、低酸素脳症にて死亡させた」とし、食堂で女性の最寄りにいた准看護師を起訴したものである。
 2015年より裁判が開始し、弁護団は「准看護師は当日やむを得ず他の職員に変わり支援に入った」「准看護師は隣の利用者介助をしていた。注意義務違反といえない」「女性の口腔・咽頭・気管には塞栓物質は認められず」「女性は誤嚥・窒息はしていない」として「准看護師の行為と女性の死亡に因果関係はない」ことを法廷で主張している。
 検察側は2016年に入り、裁判途中から、提供したおやつの形態を確認せずにドーナツを配膳したことを「おやつの形態確認義務違反」として、訴訟の原因を追加している。

公判の状況

 12月13日に、第12回公判が長野地裁松本支部で開かれた。公判の様子は次号以降で紹介する予定。
 次回の公判は2月19日で、被告本人である准看護師の尋問が終日予定されている。協会からは引き続き「無罪を勝ち取る会」と被告となっている准看護師に支援の声を伝えていく。

会員らが集めた無罪要請書


◆本事件の概要は次のとおりです。

特養老人ホーム「あずみの里」における業務上過失致死事件 概要と解説

「無罪を勝ち取る会」ニュースより編集  埼玉県保険医協会
2013年
12月
  • 長野県の特養施設「あずみの里」に入所する85歳女性。食堂でおやつのドーナツを提供され、ぐったりと意識を失っているところを介護職員に発見され、病院に救急搬送される。
2014年
1月
  • 女性は意識が戻らないまま入院先で亡くなる。
  • 警察による施設への捜査が始まる。
2月
  • 遺族と施設で示談が成立。
12月
  • 検察は被告とされている准看護師を在宅起訴。
    「誤嚥がないよう動静を注視し窒息等を未然に防止すべき業務上の注意義務があるところ」「注視を怠り」「ドーナツを誤嚥・窒息させ」「心肺停止に陥らせ、低酸素脳症にて死亡させた」とした。
 亡くなった女性は、自立して食事ができるが、義歯がなく食べるペースが早く、介護職員 が箸を使用させたり、食べ物を小分けにする等、食事ペースを調整されていた。
 女性が異変を起こした当日、おやつ担当の介護職員は2人だったが、1人の介護職員は他 の入所者の排泄介助が長引き食堂に来るのが遅れたため、起訴された准看護師がおやつ介助の応援に入る。
 准看護師は女性の隣で、食事全介助の男性入所者におやつのゼリーを提供していた。
2015年
  • 裁判開始。弁護団は「准看護師は当日やむを得ず他の職員に変わり支援に入った」
    「准看護師は隣の利用者介助をしていた。注意義務違反といえない」
    「女性の口腔・咽頭・気管には塞栓物質は認められず」
    「女性は誤嚥・窒息はしていない」
    「准看護師の行為と女性の死亡に因果関係はない」ことを主張
2016年
  • 裁判途中から、検察側は、提供したおやつの形態を確認せずにドーナツを配膳したことを「おやつの形態確認義務違反」として、訴訟の原因が追加されている。

事 件 の 解 説  ~大野病院事件のように現場を萎縮させかねない~

(1)裁判では、死亡原因がドーナツによる窒息であったのか明らかにされていません。弁護側が具体的に現場の再現を行い「注意義務違反」が認められないことを明らかにすると、検察側は裁判の途中から、訴訟原因を追加し、何があろうと有罪判決をとろうという執念を見せています。
(2)今回のように刑事事件として起訴することは、特定の職員を犯罪者として施設内の死亡事故の責任を追及することになります。介護現場の実態を無視した極めて乱暴なものです。
(3)この事件は2006年に福島県立大野病院で、産婦人科医が逮捕された事件を思い起こします。「大野病院事件」は後の裁判で無罪が確定しましたが、医師は数年にわたり休職を余儀なくされました。また「医療崩壊」といわれる状況のきっかけとなったことは記憶に新しいところです。
(4)医療や介護の現場において、特に、障害やいくつかの疾患をもった高齢者が突然に最期の日を迎えることはありえます。医療・介護の担当者、従事者を刑事事件として逮捕、起訴することを容認すれば、今後の医療・介護の現場が著しく萎縮することは明らかです。介護職員の働き手はさらに少なくなるでしょう。施設は危険回避のために、入所利用者の選択を厳格に行い、介護事故につながる可能性の高い利用者を避け、誤嚥や窒息の回避のために安易な流動食への切り替え、ベッドからの転落防止のための拘束などの対策が強いられます。
(5)今回の事件は、全国どこの介護施設や医療機関等でも起こりえることで、被告である准看護師や当該介護施設だけの問題にとどまりません。
(6)明日の、そして未来の医療・介護を守るためにも、この裁判で無罪を勝ち取ることが必要です。「無罪を勝ち取る会」では、この夏から新たな署名に取り組んでいます。埼玉県保険医協会も「無罪を求める要請書」への署名協力を呼びかけます。
以上

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