パブリックコメント

OTC類似薬の保険給付の見直しの実施に向けた中間とりまとめに対するパブリックコメントを提出しました

 厚労省は8月5日にOTC類似薬の保険除外を適用しない配慮対象について中間報告案を示し、翌6日から8月20日までの2週間、意見公募を実施した。
 配慮措置と言いながら急性疾患はおろか慢性疾患もほとんど追加負担の対象とされる酷い内容。
 協会からもコメントを提出した。
■協会が提出したパブリックコメント  PDF
■OTC類似薬の保険給付の見直しの実施に向けた中間とりまとめ  PDF
■中間とりまとめ概要  PDF

OTC類似薬の保険給付の見直しの実施に向けた中間とりまとめに対する意見
埼玉県保険医協会 2026年8月20日提出
<「1.はじめに」について>
1.OTC医薬品を購入することが、医療用医薬品の処方を受ける場合との公平性とは何か。セルフメディケーションを謳い、OTC医薬品購入を誘導しておきながら、その行為が不公平で、医療用医薬品を保険からはずすことで公平性を確保するというのは矛盾している。
2.経済的理由による「受診控え」が疾患の重症化を招くと考える。年金生活を送る高齢者が、アレルギー性鼻炎や慢性的な皮膚疾患で通院している場合、これまでと同じ薬を処方されるにもかかわらず、突如として自己負担が増加するので、生活に余裕のない患者は受診を控えたり、用量を減らして服用したりする可能性がある。結果として、気管支喘息の誘発や皮膚の重症感染症などを引き起こし、最終的には入院などより高額な医療費がかかる事態を招きかねない。
3.そもそも健康保険法第63条第2項第6号は不当である。
(1)保険診療「内部」に一部保険「外」療養を入れた、あるいは保険診療である(保険点数に依拠した)ものの一部を切り取って別称とし100%の負担を求める(選定療養費のように保険分はそのままで、別枠に保険点数と無関係な自費負担を加える事とは全く別次元)のはロジックに破綻をきたしている。無理筋である。
(2)その第6号ゴリ押しの前提で(法として成立したことは認めざるを得ない)「除外規定」の議論に引きずり出されるのは不本意であるが、患者の分断という問題には目をつぶり敢えて条件を提言する。
(3)結論から申せば、継続的薬剤使用が必要な患者について、疾患名・年齢・生活水準など勘案せず、すべて除外とすべき。
 年間50週間以上の治療期間を以て「長期継続」と定めるエビデンスはどこにあるのか。また、ガイドラインや学会等公式なデータのないものは「エビデンスが乏しい」とされ、エビデンスの乏しいものについては保険適応に合致しても一部保険外療養とするのは乱暴にすぎないか。増悪・寛解を繰り返し、慢性的に経過するコモンディジーズのなかには、学術的研究データに乏しく、ガイドラインの存在しないものもある。これらの疾患の治療について、適応症にあるという程度の薬剤もある。ガイドラインがないなどの縛りで「エビデンスが乏しい」とされれば、そもそも厚労省における保険適応認可の下、現在全国に、「エビデンスの乏しい」治療を受けている患者が多数存在することとなる。
 高い保険料に加え、「実質的に」健保法附則に反する3割超の自己負担を課すことは、法的に黒に限りなく近いグレーゾーン的であり、ボディブローのごとく生活に響く薬剤費継続的負担増による受診控え等で疾患の治療に齟齬をきたすことが起こりうる。長瀬効果に期待を寄せるのは不当。健保法第1条(目的)「国民の生活の安定と福祉の向上」に反する。また同2条(基本的理念)において、「負担の適正化」という文言で、際限ない健康保険による保障要求を制限しているが、世の中に保険料を払った上で、実質免責50%などという保険は恐らく存在しないだろうと思われる為、今次の改正は「負担の適正化」に中らないと思われるが如何か。また「国民の受ける医療の質向上」にもつながらない。従って、(長期投与の定義に則るなら)1か月を超えて継続加療が必要な患者すべて(内服・外用薬共に)を除外対象とすべきではないか。勿論「軽度の」虫刺性皮膚炎のように1回こっきりの受診で治癒するような場合のステロイド剤外用などは対象としてよいと考える。
(4)この施策による保険料削減は国民一人当たり年間400円ほどでしかないと言われている。現役世代の負担を軽減するためという大義名分で患者負担増政策を行うのは欺瞞的である。
 「モノ申す患者団体にだけ誠意を見せる対応だけしておけばよい」と言わんばかりのまとめぶり。サイレントマジョリティは放置してもよいと捉えられかねない内容は問題である。
<「2.一部保険外療養の対象医薬品」について>
「(3)効能・効果の考え方」について
(1)疾患・病態ごとに細かく区分することが、かえって現場の運用を複雑にすると思う。
(2)医師の医学的所見からの判断で処方することで、患者の納得感の問題ではない。
(3)制度上の大きな不均衡とは何を指しているのか。医師の判断で処方できる成分と確定診断のないまま副作用の少ない成分で出すことが不均衡と位置づけるのはおかしい。
(4)医療機関に事務負担が増加する。医師は診察の度に、処方薬が「別途負担の対象」か「対象外」かを判断し、対象外とする場合はカルテやレセプトの摘要欄に詳細な理由を記載しなければならなくなる。レセコンや電子カルテの複雑なシステム改修も必須となり、医療機関に労力を強いることになる。

「(6)医師が対象医薬品の長期使用等が医療上必要と考える方」について 
○皮膚科医Aの意見
 外用剤については特に厳しい判断が下されているようなので、具体例で少し検討してみたい。
(1)保湿剤
手湿疹、皮脂欠乏症について日本皮膚科学会「手湿疹診療ガイドライン」「皮脂欠乏症診療の手引き2021」がある。いずれも保湿剤については治療のベースラインとしての必要性をうたっている。長期にわたって治療が必要な「疾患」でもある。ヘパリン類似物質外用剤は「皮脂欠乏症」の適応症も持っている。なぜアトピー性皮膚炎に限って「エビデンスがある」と主張しているのか?
(2)抗真菌剤
こちらも日本皮膚科学会「皮膚真菌症診療ガイドライン2025」がある。足白癬については趾間型で2か月以上、小水疱型で3か月以上、角化型で6か月以上外用の継続が必要とある。毎日症状のあるところだけでなく趾間、趾腹、足趾全体に毎日欠かさず塗る。薬の使用量、金額負担も小さいものとは言えない。しかし50週間は使わないから対象とするというのは乱暴ではないか。
(3)ステロイド外用剤
ステロイド外用剤は「対症的に」「短期間使用」で、使用していない期間も多いという決めつけをしていないだろうか。それゆえ一部保険外療養の対象であると言いたいのだろうが、本当か?
たった1か所の病変に対してであれば、あながち間違いではないが、多くの湿疹・皮膚炎群の疾患(アトピー性皮膚炎だけでなく、皮脂欠乏性湿疹や貨幣状湿疹など)や痒疹群、尋常性乾癬など多岐に亘る炎症性皮膚疾患は複数或いは多部位に症状があり時を重ねずして増悪・寛解を繰り返して長期間(アトピー性皮膚炎に限らず、年単位となることも)患者を苦しめる。毎日どこかしらにステロイドを外用することも多い。
<「3.別途の負担を求めない者と療養の範囲」について>
1.別途の負担を求めない者の範囲に、在宅医療を受けている患者も、対象外として取り扱うべきである。
2.複雑すぎる「例外規定」が窓口でのトラブルを引き起こす。例えば、がん治療中の患者が、主治医のいる大病院ではなく近所の皮膚科クリニックを受診し、保湿剤(ヘパリン類似物質等)を処方されたケースを想定する。中間とりまとめでは「がん治療に伴う副作用への対応は対象外、直接関係しない症状は対象」とされている。
しかし、目の前の皮膚症状が抗がん剤の副作用によるものか、単なる加齢や乾燥によるものかを、がん治療の主治医ではない医師が限られた診察時間内で正確に鑑別することは困難と考える。
窓口で「私はがん患者だから対象外のはずだ」と主張する患者と、「当院では関連性が判断できない」と説明する医療機関との間でトラブルになることは明らかだ。同じ抗アレルギー薬であっても病名によって自己負担が変わるため、「なぜあの人は負担増がなくて、自分にはあるのか」といった患者間の不公平感が生じ、医療機関の窓口スタッフが説明の負担増となる。

 ○整形外科医Aの意見
(1)貼付剤については、リストアップされてないが、現在ジクトルテープは経皮的全身投与の消炎鎮痛剤であり、癌性疼痛の緩和の適応もあるが、通常の貼り薬扱いとしており、今後の取り扱いが気になる。
(2)長期使用、概ね50日は症状詳記することになるか。その手間はかかるが、それで会計時の実務がすこしましになるのなら症状詳記をする。
(3)一覧表最後の「デノタスチュアブル(沈降炭酸カルシウム/コレカルシフェロール(天然型ビタミンD)/炭酸マグネシウム配合錠)」のOTC薬はないと思うが、サプリに天然型ビタミンDがあるからという理由か。治療上、適応症上同一のものはないのに何故か。

「(1)がん患者」について 
 がんとは別の疾患でも療養上必要なものは、対象外とするべき。

「(6)医師が対象医薬品の長期使用等が医療上必要と考える方」について 
(1)OTC薬を購入する時点で、薬剤師がガイドラインに基づき、患者が使用する状態を確認して判断することは不可能である。また、長期に購入しているかどうかなど、薬局ではOTC医薬品販売ではそこまでの管理はできない。
(2)抗真菌外用薬の使用の有無を自己判断させるのは危険である。使用の有無は医師の診断により行われるべきであり、別途負担の対象とするものではない。
(3)ステロイド剤は、強さのランクがあり、強いものを使用すれば効果がすぐに出る。OTC薬を購入する患者は、効く薬を第一選択とし、その後に起こる副作用は購入時点では頭にない。ステロイド外用薬は、医師の管理のもと、処方されるものであり、別途負担の対象とすることには反対である。
(4)消炎鎮痛と処置の外用薬も成分に大きな差がある。自覚症状に左右されやすいことが理由で対象とするのは反対である。今でさえ、枚数制限が行われているところで、更に追加の措置を加えることに反対である。

「(7)OTC医薬品を服用しないこととされている方」について 
 OTC医薬品を服用しないことと記載されているにもかかわらず、医師の判断で処方する場合は、制度上の取扱いの問題ではない。医療機関を受診して必要な管理が行われている薬は負担の対象とするべきではない。
<「4.おわりに」について> 
 OTC類似薬の保険給付の見直し自体が、国民が必要な医療を受ける機会を奪うということを認識するべきである。
以上
 

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