声明・談話

年頭所感

 年頭にあたりまして、新年のご挨拶を申し上げます。
 昨年六月の第三七回定期総会におきまして、埼玉県保険医協会理事長を拝命いたしました。
 
創立40周年を迎える年

埼玉県保険医協会は、本年で創立四十年を迎えます。一九七二年創立以来、初代理事長が里村成章先生、その後に方波見猛先生、さらに松本光正先生、四代目が青山邦男先生、そして私が五代目となります。二十一世紀に入っての直近十年間は、青山前理事長が強力なリーダーシップを発揮され、事務局体制と理事会を強化しつつ、今日の協会の地位を築きあげてこられました。個別指導対策を中心に、開業保険医の経営と権利をしっかりと守り、国民医療を守る活動についても、地域医療の崩壊を厳しく告発してきました。この十年間で、会員数は二八九〇人から三八〇〇人に増え、四〇〇〇人の大台に近づきつつあります。
 今まで先輩の方々が築いてこられた協会の活動を引き継ぎ、「三つの基本方針」①憲法や法律にもとずく公平性、②合理的かつ論理的運動、③EBM(科学的根拠に基づく医療の提供)を貫き、さらに次の地平へ活動を発展させて四十周年を迎えたいと考えます。
 
歴史的危機、大震災・原発事故の2011年
 
 昨年は、巨大地震と巨大津波という未曽有の大震災、そして人類が初めて遭遇した原発の同時多発爆発事故という、歴史に残る危機の年でした。
 五十五年前から、歴代自民党政府は、核利用の安全性が確立していないにも拘らず、安全、クリーン、低コスト、温暖化対策の切り札、などと大宣伝して原発推進を国策としてきました。その後押しをしたのは、「原子力村」の関連学者や権威ある専門医学者、大手マスコミでした。
 昨年協会は、震災直後から計画停電対応や被災者の医療支援などに取り組み、また初めて「脱原発」を方針に掲げて活動を展開してまいりました。今の時代に生きる、医師の団体として、求められる役割を果たしていきたいと考えています。
 
国民皆保険と開業保険医をまもる闘いに全力
 
 あの政権交代から二年半が過ぎようとしています。民主党はこの間、国民生活優先・医療再生の公約を投げ捨て、「社会保障と税の一体改革」など構造改革路線を推し進めてきました。特に野田内閣は、自民公明政権以上に、患者負担増・社会保障改悪・庶民大増税・TPP参加などの悪政を推し進めようとしています。行きつく先は五十年前に確立した国民皆保険の崩壊であり、医療への市場原理導入です。
 「開業医は儲けている」との意図的な宣伝により診療報酬マイナス改定を誘導し、高点数レセプトを狙い撃ちした個別指導などを通じて、医療費削減を貫こうとする、政府・厚労省の暴走も顕著です。
 埼玉では、個別指導で弁護士帯同、録音器持ち込みが当たり前になってきた一方で、昨年の個別指導では、カルテ等がコピーされるという暴挙が厚生局により行われました。こうした違法行為を再発させないために、個別指導の抜本改革へむけた取り組みを強化していきます。
 今年は六年に一度の診療報酬、介護報酬の同時改定の年です。協会は三月に改定説明会を開きます。併せて国民皆保険を守るためにTPP参加に反対し、開業保険医の経営と人権を守るために審査・指導対策などに引き続き全力をあげて取り組みます。多数の会員の皆さま方がこうした取り組みにご参加いただけることを心より願っております。
 会員皆様方の、ご指導・ご鞭撻をよろしくお願いし、年頭の挨拶といたします。
 
二〇一二年 元旦 埼玉県保険医協会理事長 大場 敏明

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