論壇
民主主義を理解していない民主党政治
“真の造反議員”の末路は?
戸田市 福田 純
色あせた政権交代
二〇〇九年の衆院選、マニフェスト選挙を征し三〇八もの議席を獲得し政権交代を果たした民主党であったが、三年経った今、大きな政治不信と失望感が国民を包んでいる。あの熱病に似た三年前の「政権交代は何だったのか?」との是非論すら出ている。これについて、与野党含めた政治家の責任は大変重い。何故、有権者の期待は裏切られたのか?きちんとした検証がなされなければならない。このテイタラクは元々、政権奪取のための“寄り合い所帯”であった民主党の「当然の帰結をさらけ出した」という見かたもある。
大きな期待が失望に変わった要因(私見)
1)実現できると考えていたが様々な要因で実現できなかった
2)実現できるかも知れないとの希望的観測でマニフェストに掲げた
3)初めから現実不可能、もしくはやる気はなかったが選挙(当選する)のため掲げた
4)政権交代当時の執行部ではない勢力が実権を執り、マニフェストを反故にした等が考えられる。1)については政権実務の不慣れ、官僚のサボタージュや数々の不測の事態、見込み違いがあったと推察できる。「最低でも県外」と言っていた普天間基地移設が無様な結果に終わった理由は2)であろう。3)政権交代のため自ら掲げたマニフェストに目をつぶり当選した“エセ民主党議員”が多数紛れ込んでいた。4)このエセ議員達が小沢派退陣の後、権力のみを引き継いだ。
国民へのInformedConsent(IC)は必須事項
間接民主主義としての代議員制は選挙当時と考え方や方針が変わったなら、きちんとそれを説明する義務があり、その上で信任選挙がなされるべきである。現在の党執行部がマニフェストを反故にした段階で、新たに国民の信を仰ぐべきであるが、民主党はその過程を踏んでいない。我々医療者が患者に対して病気の診療に際し、きちんと説明し同意を得る作業ICを行う過程と同じである。主治医が変わった為、治療法が変わり「薬物療法から急に手術になりました」と国民に説明なしに“有無を言わせない”やり方は乱暴すぎる。
AIJ投資顧問と同じ。信を問わないマニフェスト反故は犯罪
野田政権はマニフェストをかなぐり捨てた時点で、結果的に国民に“ウソ”を付いた事になる。顧客からウソの収支報告を信用させ集めた年金を焦げ付かせて、逮捕されたAIJ投資顧問の面々と、政権執行部とどこが違うのだろうか?マニフェストで国民を欺いて集めた議席なら、これを返し、罪を認め退陣するのが筋である。
国民を冒涜した三党合意・政権交代した意味がない
先の衆院選で国民が排除した政党とくみした三党合意は“国民への裏切り”以外の何物でもない。選挙後にこれをやられては国民はなすすべがない。民主主義の基本も理解できていない輩に何を託せと言うのか?自民党・公明党も“同じ穴のムジナ”で、結果のためなら節操・モラルのかけらもない。国会議員の質の低下が悲しい。
民意無視の暴走を食い止めるには…
社会保障一体改革を伴わない消費税増税のみならず、TPP(環太平洋経済連携協定)・沖縄の米軍基地・原発問題等々これからの日本の将来に大きく影響する問題にことごとく、民意無視を決め込んでいる。野田首相は“聴いた素振り”をする事はある。しかしながら、対話をしても“既に結果ありき”の頑なな態度を崩さないため、議論をしても虚しい。国民目線からすれば「造反議員」は民主党を離れた小沢派ではなく、自民党野田派?とも揶揄される現執行部の面々である。“真の造反議員たち”は直ちに、政権担当の表舞台から退場すべきである。民意を離れ暴走する民主主義政治の欠陥を修正するシステムを作るため、国内法を改正すべきである。野田首相の問責決議案が可決され、もうすぐ総選挙!“真の造反議員”の行く手は如何に?往生際だけはきれいにして頂きたい。