声明・談話

特定秘密保護法成立に対する抗議声明
(12月8日開催 関東ブロック会長理事長懇談会における共同声明)
 安倍内閣と与党は12月6日夜、参議院本会議において特定秘密保護法案を可決成立させました。この法案には、国民の中に広く反対や懸念の声があがっているにも拘わらず、はじめにスケジュールありきで審議を尽くさず、政府与党は数の力を頼りに衆参両院とも強行採決を繰り返しました。
 この議会制民主主義をないがしろにした暴挙に対して強い憤りを禁じえず、政府与党に強く抗議します。
 とりわけ、今回、指定となる「特定秘密」はその範囲や基準が不明確であり、国民にとって有益でも、政府や官僚にとって不都合な情報の秘匿、不正の隠ぺいに利用されかねないことは大きな問題です。また、それをチェックする第三者機関についても、本当に独立性が担保されたものになるのか、法文上では明確になっていません。さらに特定秘密の情報漏えいやアクセスに関する厳罰化は、民主国家の主権者たる国民の「知る権利」を侵害するだけでなく、かえって国民を委縮させ社会における自浄機能を低下させるものです。
 そして、何より医療者として最も危惧することは、同法が患者や潜在患者の受診抑制に繋がりかねないことです。特定秘密の取扱者は、予め家族らも含め『適性評価』の対象として義務づけられています。取扱者の調査項目には、薬物・精神疾患・飲酒・信用状態なども挙がっており、医師等にも情報回答義務があるとの政府見解が示されています。
 このことによって医療者や医療機関は、本来、守秘義務のある患者のプライバシー情報の提供を強要されかねません。また、そうしたことを懸念する病者は、受診を手控えし病気の重症化を招くことは明らかです。日常診療における早期発見、早期治療を阻害し、患者の受療権を不当に制約するもので、到底容認できません。
 今回の特定秘密保護法は、成立後、一年以内の施行となっています。患者・国民の健康を守る医療者として同法の成立に抗議すると共に、今後、速やかな廃止を求めていくことを、ここに表明するものです。
2013年12月8日
全国保険医団体連合会関東ブロック協議会

茨城県保険医協会 会長 宮﨑三弘
栃木県保険医協会 会長 戸村光宏
群馬県保険医協会 会長 木村 康
埼玉県保険医協会 理事長 大場敏明
千葉県保険医協会 会長 花井 透
東京保険医協会 会長 拝殿清名
東京歯科保険医協会会長 松島良次
神奈川県保険医協会理事長 森 壽生
山梨県保険医協会 会長 土地邦彦

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