声明・談話

2014年2月28日
厚生労働大臣 田村 憲久 殿
厚生労働省保険局医療課長 宇都宮 啓 殿
中央社会保険医療協議会会長 森田 朗 殿
埼玉県保険医協会
理事長 大場 敏明
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在宅医療点数「同一建物居住者」への75%の減収の見直し
および、特に認知症患者に対する診療の適切な評価を強く求める
 2月12日、中医協は、2014年診療報酬改定の答申を行った。その中の在宅医療点数において、在宅時医学総合管理料、特定施設入居時等医学総合管理料に「同一建物居住者」の区分が導入され、従来の点数の25%(引き下げ率75%)という考えられない大幅な点数の引き下げが行われようとしている。
 今回の診療報酬改定の基本方針で「在宅医療の充実」は大きな位置づけになっていたはずである。しかし、在宅紹介ビジネスなどを受けた「不適切事例の適正化」の理由で、患者一人ひとりに対して総合的な医学的管理を行うべき点数が、「同一建物居住者」という居住要件によって異なるという法的公平性に欠けたものになっている。
 しかも、在宅時医学総合管理料と特定施設入居時等医学総合管理料の点数には、医学管理の他、投薬、留置カテーテル設置など処置の管理を行う「寝たきり処置指導管理料(1,050点)」が含まれていながら、答申後の点数は1,050点を下回るケースも見られ、論理に矛盾がみられる。
 唐突な大幅引き下げによる医療機関への経営的影響は甚大である。特に認知症対応型共同生活介護(認知症グループホーム)への影響は大きい(別紙事例)。認知症グループホームは、介護保険スタート時の「認知症介護の切り札」として始まり、現在の施設数は1万件以上に上り、入所者数は17万人を超える。その入所者はいずれも中等度から重度の認知症患者であり、医師は24時間対応しながら訪問診療を担い、専門医が行う認知症医療の重要な場である。
 しかし、今回の大幅引き下げは、適切かつ誠実に在宅医療に対して、とてつもない切り捨てであり、既に訪問診療の辞退を検討している医療機関もある。辞退続出となれば、認知症グループホームの入所者は医療を受けられず「認知症難民」となり、国が推進する認知症対策は大きく後退する。
 そもそも、今回の点数引き下げの発端となった不適切事例の問題は、本来は厚生労働省がいわゆる患者紹介ビジネス業者を指導監視すべきものが全くされておらず、政治や行政の不作為によって善良な在宅医療を行っている医師を巻き込み責任転嫁をする本末転倒である。
 以上のことから、点数告示前に下記の実施を強く求める。
  1. 在宅患者訪問診療料、在宅時医学総合管理料、特定施設入居時等医学総合管理料の点数、および「同一建物居住者」の概念の整理、見直しを求める。
  2. 専門的な治療が必要となる認知症グループホームの訪問診療において、専門分野に対する考慮を行い点数の引き下げを見直し、少なくとも現行の点数を維持すべきである。
以上

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