声明・談話
【共同抗議 声明】
「別紙様式14」は9月まで「省略」でなく廃止されるべき
根拠なき、患者情報の収集手法の甘受は医療界に大きな禍根に
根拠なき、患者情報の収集手法の甘受は医療界に大きな禍根に
埼玉県保険医協会では、今改定の在宅医療分野について特に問題視し、在宅医療における「別紙様式14」なる記録書のレセプト添付について、4月11日に厚労大臣宛てに廃止することを求めている。未だ廃止の決定がされていないことと、関連する厚労省の愚行に抗議をするとともに、改めて廃止を求める。
在宅医療に関わらない会員、この点数を算定する機会のない会員、歯科会員にとっては馴染みが薄いものと思われるが、今回のレセプト添付による情報収集の手法は大変に問題が大きいことを伝えたい。今回「別紙様式14」の添付の問題点として
詳細な情報供出はレセプト審査に不要であること
個人情報保護法に抵触すること
患者の要介護度等の記載を求めることは越権行為であること
などがあげられる。
これは、例えると、算定要件に関係しない患者のカルテの内容をレセプトに添付させられたり、患者の治療と関係ない同居する家族の診療情報の添付を求められたり、同一町内で受診している患者との相関関係まで求められるようなものである。傷病名を診断した理由や、根拠となるデータ数値を供出させるようなものでもある。
「レセプトの添付」は、4月の下旬になって、電子媒体レセプトにデータ入力をする方式を可能とすることが周知されたが、厚労省は執拗に情報供出を求めている。
今回の厚労省の事務連絡に最も驚愕したのは、レセコン、カルテメーカーかもしれない。こうしたデータ供出をレセプトに添付させる方法は例外を除き、これまでの標準実務では求められていない。それは、レセプト審査に係る法令や療養担当規則等に定めがなく、想定がされてきていないからである(別紙)。
法的な整備もはからないまま、ためらいなく、こうした情報供出をレセプトに添付させる方法で求めてくる厚労省の判断力には本当に驚くばかりである。
また、患者には、そのように情報が保険者やどこかの分析機関に、供出・収集されていることは知らされていない。患者の所属する保険者以外に受診情報を本当に知らせて良いのだろうか。
付け加えれば、医療機関における事務作業、医師の入力等に関する負担など、無考慮のままである。毎月の請求期限(10日〆切)にレセプトを提出することでも、医療現場の苦労は大抵ではない。ここに安易にデータの添付・供出を強要することなど再考されるべきである。
データに基づいた改定内容の検証や診療報酬改定の検討はされるべきであろうが、データの供出をレセプト添付で求めるのは、法例整備の観点、患者情報の取扱の観点、医療現場の実務上の観点などから、がさつとしかいいようがない。
かつて、レセプトオンライン請求の義務化にあたっては、患者の受診情報の二次利用、三次利用が懸念されていたが、監督責務を果たすべき当の厚労省から、審査以外の目的で情報収集が強要されるとは、断じて容認できない。
こうした手法をそのまま甘受すれば、今後の改定時に同様の手法が横行することは必至である。
このような愚行と行政判断がされている実情を、多くの関係者とも共有をすべく、本声明(談話)を、出すこととした。
厚労省は「別紙様式14」9月まで省略としているが、即刻廃止とするべきである。
在宅医療に関わらない会員、この点数を算定する機会のない会員、歯科会員にとっては馴染みが薄いものと思われるが、今回のレセプト添付による情報収集の手法は大変に問題が大きいことを伝えたい。今回「別紙様式14」の添付の問題点として
詳細な情報供出はレセプト審査に不要であること
個人情報保護法に抵触すること
患者の要介護度等の記載を求めることは越権行為であること
などがあげられる。
これは、例えると、算定要件に関係しない患者のカルテの内容をレセプトに添付させられたり、患者の治療と関係ない同居する家族の診療情報の添付を求められたり、同一町内で受診している患者との相関関係まで求められるようなものである。傷病名を診断した理由や、根拠となるデータ数値を供出させるようなものでもある。
「レセプトの添付」は、4月の下旬になって、電子媒体レセプトにデータ入力をする方式を可能とすることが周知されたが、厚労省は執拗に情報供出を求めている。
今回の厚労省の事務連絡に最も驚愕したのは、レセコン、カルテメーカーかもしれない。こうしたデータ供出をレセプトに添付させる方法は例外を除き、これまでの標準実務では求められていない。それは、レセプト審査に係る法令や療養担当規則等に定めがなく、想定がされてきていないからである(別紙)。
法的な整備もはからないまま、ためらいなく、こうした情報供出をレセプトに添付させる方法で求めてくる厚労省の判断力には本当に驚くばかりである。
また、患者には、そのように情報が保険者やどこかの分析機関に、供出・収集されていることは知らされていない。患者の所属する保険者以外に受診情報を本当に知らせて良いのだろうか。
付け加えれば、医療機関における事務作業、医師の入力等に関する負担など、無考慮のままである。毎月の請求期限(10日〆切)にレセプトを提出することでも、医療現場の苦労は大抵ではない。ここに安易にデータの添付・供出を強要することなど再考されるべきである。
データに基づいた改定内容の検証や診療報酬改定の検討はされるべきであろうが、データの供出をレセプト添付で求めるのは、法例整備の観点、患者情報の取扱の観点、医療現場の実務上の観点などから、がさつとしかいいようがない。
かつて、レセプトオンライン請求の義務化にあたっては、患者の受診情報の二次利用、三次利用が懸念されていたが、監督責務を果たすべき当の厚労省から、審査以外の目的で情報収集が強要されるとは、断じて容認できない。
こうした手法をそのまま甘受すれば、今後の改定時に同様の手法が横行することは必至である。
このような愚行と行政判断がされている実情を、多くの関係者とも共有をすべく、本声明(談話)を、出すこととした。
厚労省は「別紙様式14」9月まで省略としているが、即刻廃止とするべきである。
以上
2014年5月30日
埼玉県保険医協会理事長 大場 敏明
同審査指導対策部長 小橋 一成
埼玉県保険医協会理事長 大場 敏明
同審査指導対策部長 小橋 一成
抗議談話に関する関連資料 (別紙)
「別紙様式14」(以下「14」)のレセプト添付を求めることの問題点 大別すると4点。
◆1.「14」で記載を求めている内容事項は、診療報酬本体や通知などで定められていない。
しかし、「14」の中には、通知で規定されていない、患者の認知症の自立度や、他の患者の名前、訪問診療の滞在時間、などの詳細の記述が求められている。
※診療報酬の通知上では 「『同一建物居住者の場合』を算定する場合は、別紙様式に記載のうえ、診療報酬明細書に添付する」と、あるのみ。
(「事務連絡:平成26年4月23日平成26年度診療報酬改定関連通知の一部訂正及び官報掲載事項の一部訂正について」で、様式の内容が初めて公開された。)
◆2.毎月のレセプト提出にあたり、別紙様式の添付を求めているのは例外時のみである。毎月の算定時に添付を求められるのは初めてのことである。
※「請求省令」では、3点の例外が紹介。①明細書の合計が100万点以上の透析患者の薬剤と処置、②主治医が必要と認めた場合、③35万点以上(歯科は20万点以上)の明細書の場合、と示されている。
( 保医発0326 第7号:平成24年3月26日:「診療報酬明細書に添付する資料について」の一部改正について)
◆3.上記とも重なるが、保険医療機関の責務として、審査に関係しない情報や患者の個人情報を、毎月定期的に、保険者や審査機関に供出することは療養担当規則や健保法等で規定されていない。
◆4.こうした情報提供の在り方や、明細書に記録の添付を求める方式、記載する項目等については、中医協における議論討論は必要であるが、上記「1」で求めているものは、一切、討論がない。
【レセプト審査について】
(1) レセプトの審査は、診療報酬の支払いを行うに当たって、診療行為が保険診療ルール(療養担当規則、診療報酬点数表等)に適合するかどうかを確認する行為であり、これによって保険診療ルールに適合する診療行為を確保している。
(2)レセプトには診療報酬の算定上、審査で必要とされる事項、算定要件等を記載することが、請求省令や診療報酬点数表関連通知に定められている。
(参考)健康保険法第76条第4項(国民健康保険法第45条第4項に同旨の規定あり)
保険者は、保険医療機関又は保険薬局から療養の給付に関する費用の請求があったときは、第70条第1項及び第72条第1項の厚生労働省令(=療養担当規則)並びに前2項の定め(=診療報酬点数表)に照らして審査の上、支払うものとする。
◆1.「14」で記載を求めている内容事項は、診療報酬本体や通知などで定められていない。
しかし、「14」の中には、通知で規定されていない、患者の認知症の自立度や、他の患者の名前、訪問診療の滞在時間、などの詳細の記述が求められている。
※診療報酬の通知上では 「『同一建物居住者の場合』を算定する場合は、別紙様式に記載のうえ、診療報酬明細書に添付する」と、あるのみ。
(「事務連絡:平成26年4月23日平成26年度診療報酬改定関連通知の一部訂正及び官報掲載事項の一部訂正について」で、様式の内容が初めて公開された。)
◆2.毎月のレセプト提出にあたり、別紙様式の添付を求めているのは例外時のみである。毎月の算定時に添付を求められるのは初めてのことである。
※「請求省令」では、3点の例外が紹介。①明細書の合計が100万点以上の透析患者の薬剤と処置、②主治医が必要と認めた場合、③35万点以上(歯科は20万点以上)の明細書の場合、と示されている。
( 保医発0326 第7号:平成24年3月26日:「診療報酬明細書に添付する資料について」の一部改正について)
◆3.上記とも重なるが、保険医療機関の責務として、審査に関係しない情報や患者の個人情報を、毎月定期的に、保険者や審査機関に供出することは療養担当規則や健保法等で規定されていない。
◆4.こうした情報提供の在り方や、明細書に記録の添付を求める方式、記載する項目等については、中医協における議論討論は必要であるが、上記「1」で求めているものは、一切、討論がない。
【レセプト審査について】
(1) レセプトの審査は、診療報酬の支払いを行うに当たって、診療行為が保険診療ルール(療養担当規則、診療報酬点数表等)に適合するかどうかを確認する行為であり、これによって保険診療ルールに適合する診療行為を確保している。
(2)レセプトには診療報酬の算定上、審査で必要とされる事項、算定要件等を記載することが、請求省令や診療報酬点数表関連通知に定められている。
(参考)健康保険法第76条第4項(国民健康保険法第45条第4項に同旨の規定あり)
保険者は、保険医療機関又は保険薬局から療養の給付に関する費用の請求があったときは、第70条第1項及び第72条第1項の厚生労働省令(=療養担当規則)並びに前2項の定め(=診療報酬点数表)に照らして審査の上、支払うものとする。