声明・談話

年頭所感

埼玉県保険医協会理事長 大場敏明
 二〇一四年は、安倍政権によって四月の診療報酬マイナス改定や消費税税率引き上げが実施され、医療界や国民生活にとって地域医療の困難性や経済的負担がさらに増した一年でした。また、大企業が世界一活動しやすい社会づくりと医療の営利化路線が追及される一方、集団的自衛権の行使容認が閣議決定され、政権公約になかった特定秘密保護法も総選挙の最中に施行されてしまいました。憲法の改悪もいよいよ視野にいれ「きな臭い道をひたすら走りぬく」政治を押しすすめています。
 政府は、雇用は増え、賃金があがったと成果を誇示します。しかし、増えたのは非正規雇用で、正規雇用者は減少、あがったのは名目賃金で、実質賃金は十六カ月連続の減少というのが実態です。GDPもマイナス成長です。看板の経済政策は、目眩ましであり、ほとんどの国民と医療人はアベノミクスによる恩恵を実感していないでしょう。
 この右翼的、新自由主義的政権と、医療界や国民との矛盾は広がっています。特に沖縄での各市長選・県知事選の結果は象徴的でした。年末の総選挙は、与党の大勝でしたが、実態は、過去最低の低投票率で、自民党の得票は有権者の二割に満たないものです。小選挙区制の弊害が著明に出た結果でした。
 昨春の診療報酬マイナス改定は特に「同一建物居住者」への訪問診療に対して、前代未聞の大減算が強行されました。乱暴で強引な手法は二度と行わせてはなりません。
 最近数年、医療分野は、介護分野とともに、社会保障政策のみならず、経済政策的にも成長戦略の中心、最大の改革分野と目され、営利企業の草刈り場になりかねない状況におかれています。医療を経済成長の観点で捉えるのは「非営利を根本」にすえている医療界としては断固として慎重にありたいところです。今年は介護報酬の改定もありますが、一部のサービスは打ち切りにされ、自治体任せになり、高齢者が利用しにくくなる改定になりそうです。協会では地域医療と介護を守っていく活動を旺盛に進めたいと思っております。
 昨年八月に日本弁護士連合会は「指導監査改善の意見書」を発表しました。こうした動きはこれまでにはなかったことです。個別指導の問題は社会的に益々知られてゆくと思われますが、協会では引き続き、開業保険医の声を届け、問題の改善、是正にさらに努めていく所存です。
 総会方針でも例年紹介していますが、厚生労働省白書は、医療、介護、福祉は個人消費を押し上げ経済波及・雇用創出効果も高いと示しています。医療分野の改革が求められている今こそ、大いに医療関連分野に予算配分がされるべきでしょう。
 医療界の力は、地域においても政治の場においてもなかなか発揮ができておりません。開業医を守り、地域医療を充実させていくために、関係者と力をあわせて、一層活動を強めていきたいと思っております。会員の皆様方にも、益々協会活動にご参画をいただき、医療や社会保障の改革の向きを是正させていく所存です。
 本年もよろしくお願いします。

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