論壇
政(マツリゴト)は誰のため? 救える生命は医療だけではない
戸田市 福田 純
大義を見いだせない衆議院総選挙が終わり、想定していた通りの結果となった。議席数で圧勝した自民党ではあるが、得票数は有権者の四分の一に過ぎない。民意を反映させ難い小選挙区制の悪しき構造のなせる結果であった。本来の民主政治は無効票となった民意をも汲み取って政を行うものであろうが、現在の政治形態は「All or Nothing」、無効票の声は「抹殺されて当然」との殺伐とした風潮が続く。
自らに都合の悪いことは選挙の争点にあげず、または曲解し、法案の名称も真逆が多い。「日本型新裁量労働制」→「残業代ゼロ法」、積極的平和主義を掲げながら「武器輸出三原則」→「防衛装備移転三原則」、さらに「世界一企業が働きやすい国」→「働く者が報われない企業」へ。そしていつしか「原発」は「ベースロード電源」に変わり、電力会社が太陽光など再生エネルギーの購入を阻害する働きかけを通産省が支援している。民意の多くは反対である秘密保護法や戦争に加担しやすい(アメリカの片棒を担ぐ)集団的自衛権行使容認にひた走る。
社会保障費の確保として消費税を五から八%にアップしたにも拘らず、ほぼ同額にあたる法人税の減税を行うと言及している。法人税減税の恩恵に与るのは、儲けがあり税金を払う企業だけ、という構図に他ならない。トヨタなどのグローバル企業や経団連の大企業がこれに該当するが、多くの中小企業やわれわれ医療機関は消費税増税分の損税回収もできない。
つまり、安倍政権は「弱きをくじき、強きを助ける」姿勢を貫いている。
そもそも、国の最も大切な使命は「国民の生命と財産を守ること」にあり、それを履行するために国民は「税金を払う義務を負う」のである。使命を実施する政治の目的は国民の最大幸福を目指すこと。さらに、それを実行する政治家の役割は国民全体の幸福を目指すとともに、社会の弱者が人間らしく生きていける環境を提供することであろう。残念ながら安倍政権の方向性は、弱者はより弱い立場に追いやる政策が目立つ。
医療により患者の苦痛を減らしたり、救われる命があるのと同様、政治でしか救えない生活や命があることを、すべての政治家が自覚し、それを自分の行動規範にしていただきたい。
アベノミクスの恩恵を受け笑っているのは株の所有者であり、株を持ち合わせない多くの国民は円安による物価高にあえいでいる。一%の富裕者をさらにリッチにしても、そこから滴り落ちる富(トリクルダウン効果)は期待できない。今後は新自由主義者の追い求める社会で格差がさらに広がり、暗澹たる世の中になって行きそうである。つい二十数年前〝一億総中流〟と言われたころの日本が懐かしい。
昨年亡くなった経済界の巨匠、宇沢弘文氏の「人びとを幸福にする社会」を目指す姿勢が現政権にはみられない。
今回の衆院選の結果で「民意を得た」とばかりに、世界がうらやむ日本のpricelessな宝(戦後七十年続く不戦、皆保険制度や他者を思いやる心など)を失わせかねない。憲法をも閣議決定という民主的手法を反故にした独裁者然とした振る舞いで、再び日本を世界から孤立させ、無残な姿にした過去の苦い経験を繰り返させようとしている。そんな過程を国民はただ無力感を抱きながら、見ていなくてはいけないのか。
いやここで諦めてはさらに現為政者のやりたい放題となる。幸い私たちは一人ではない。沖縄が民意を集めて行動しているように、一人でも「反対!」の意思表示をし続ける責任がある。次世代の若人たちに「こんな国になるのをなぜ許したの?」と言われないためにも…。
追伸‥アベノミクスの三本矢に例えられる毛利元就の三本の矢は本来「三本の矢が並列に並んだ時、強さを発揮する」例えであり、アベノミクスの三本は直列である。これでは強くなれない。完全な引用の誤りで、アベノミクスがうまくいかないのも「さもありなん」である。
自らに都合の悪いことは選挙の争点にあげず、または曲解し、法案の名称も真逆が多い。「日本型新裁量労働制」→「残業代ゼロ法」、積極的平和主義を掲げながら「武器輸出三原則」→「防衛装備移転三原則」、さらに「世界一企業が働きやすい国」→「働く者が報われない企業」へ。そしていつしか「原発」は「ベースロード電源」に変わり、電力会社が太陽光など再生エネルギーの購入を阻害する働きかけを通産省が支援している。民意の多くは反対である秘密保護法や戦争に加担しやすい(アメリカの片棒を担ぐ)集団的自衛権行使容認にひた走る。
社会保障費の確保として消費税を五から八%にアップしたにも拘らず、ほぼ同額にあたる法人税の減税を行うと言及している。法人税減税の恩恵に与るのは、儲けがあり税金を払う企業だけ、という構図に他ならない。トヨタなどのグローバル企業や経団連の大企業がこれに該当するが、多くの中小企業やわれわれ医療機関は消費税増税分の損税回収もできない。
つまり、安倍政権は「弱きをくじき、強きを助ける」姿勢を貫いている。
そもそも、国の最も大切な使命は「国民の生命と財産を守ること」にあり、それを履行するために国民は「税金を払う義務を負う」のである。使命を実施する政治の目的は国民の最大幸福を目指すこと。さらに、それを実行する政治家の役割は国民全体の幸福を目指すとともに、社会の弱者が人間らしく生きていける環境を提供することであろう。残念ながら安倍政権の方向性は、弱者はより弱い立場に追いやる政策が目立つ。
医療により患者の苦痛を減らしたり、救われる命があるのと同様、政治でしか救えない生活や命があることを、すべての政治家が自覚し、それを自分の行動規範にしていただきたい。
アベノミクスの恩恵を受け笑っているのは株の所有者であり、株を持ち合わせない多くの国民は円安による物価高にあえいでいる。一%の富裕者をさらにリッチにしても、そこから滴り落ちる富(トリクルダウン効果)は期待できない。今後は新自由主義者の追い求める社会で格差がさらに広がり、暗澹たる世の中になって行きそうである。つい二十数年前〝一億総中流〟と言われたころの日本が懐かしい。
昨年亡くなった経済界の巨匠、宇沢弘文氏の「人びとを幸福にする社会」を目指す姿勢が現政権にはみられない。
今回の衆院選の結果で「民意を得た」とばかりに、世界がうらやむ日本のpricelessな宝(戦後七十年続く不戦、皆保険制度や他者を思いやる心など)を失わせかねない。憲法をも閣議決定という民主的手法を反故にした独裁者然とした振る舞いで、再び日本を世界から孤立させ、無残な姿にした過去の苦い経験を繰り返させようとしている。そんな過程を国民はただ無力感を抱きながら、見ていなくてはいけないのか。
いやここで諦めてはさらに現為政者のやりたい放題となる。幸い私たちは一人ではない。沖縄が民意を集めて行動しているように、一人でも「反対!」の意思表示をし続ける責任がある。次世代の若人たちに「こんな国になるのをなぜ許したの?」と言われないためにも…。
追伸‥アベノミクスの三本矢に例えられる毛利元就の三本の矢は本来「三本の矢が並列に並んだ時、強さを発揮する」例えであり、アベノミクスの三本は直列である。これでは強くなれない。完全な引用の誤りで、アベノミクスがうまくいかないのも「さもありなん」である。