論壇

参院選の結果、改憲が可能に!
2012年自民党の改憲草案を読んでおこう!

戸田市  福田 純
 選挙になると安倍首相は主に自説の経済(アベノミクス有用)論しか論じない。昨年の衆院選に於いても「アベノミクスの是非を問う」と首相の解散権を振りかざし突然の解散、総選挙。野党の隙を突き圧勝した。その途端、選挙中ほとんど議論していない特定秘密保護法や集団的自衛権の行使など安全保障関連法まで、信任を得たかのごとき振る舞った挙げ句強行採決した。
 そうして向かえた今回の参院選。かつては〝良識の府〟とも言われた参院だが、衆参両院で与党がそれぞれ過半数を占めれば、参院の存在価値が改めて問われよう。そんな中にあって、選挙前・選挙中を通じて、安倍首相は〝表の持論〟アベノミクス経済政策については論じたが、〝裏の持論〟彼の本懐である「憲法を改定して〝戦後レジームからの脱却〟を図る」は封印し続けた。それを容易にしたのは、メディアが放送時間・報道紙面共に舛添都知事(当時)の辞任劇を報道し続けた為であり、これが与党の大勝に寄与したことは否めない。メディアのあり様、姿勢も問われてしかるべきである。
 そして、与党が憲法改正の発議に必要な議席数の3分の2以上を目指すべく画策する中、暴走安倍内閣を阻止すべく野党(民進、共産、社民、生活)連合は32ある改選1人区の全てに候補者を一本化して臨まざるを得なかった。理念の大きく異なる政党が政策論争でなく、このような選挙方法しか取れなかった点を、与党が野合と批判するのに一理あるとしても、政権担当選挙でない参院選にあっては許される範疇と考えられた。
 しかしてその結果、自民党21勝対野党11勝で自民党の勝利であったが、前回2013年の参院選で31の改選1人区のうち自民党29勝2敗であったことと比べれば、それなりの効果があったと言えよう。
 それでも、自民党が単独過半数、改憲勢力も合わせて3分の2以上の議席数を確保したことにより、安倍政権はいつでも改憲へ発議が出来る事になった。今後、国民投票と言う手順が控えているが内心、ほくそ笑んでいることであろう。更に「急いては事をし損じる」と、反対世論の誘導法を熟慮・腐心している段階に突入している時期にある。
 ただ、今までの安倍首相のやり方(口)は先の衆院選後の国会運営を見れば明らかだ。選挙の争点を隠し、曲解し、そして真っ当な議論を避ける。事実、フェアでない。われわれ医療者が患者に対し、きちんと誠意ある説明をした上で、合意を得るインフォームドコンセントの手法とは相いれない。論戦相手に敬意さえ見せない。国民が納得しようがしまいが自分たちの決めたルールに乗せ、強引なやり方で意を進め、国民をねじ伏せ「決めてしまえばこっちのもの」と考えている。彼らは「民主的手法だ」というが、恐ろしく民主主義を否定したやり方である。「手術の同意書さえもらえば、結果はどうであれ、俺たちに有利だ」と考える、どこかの悪徳医療者のごとき姿に重なる。ことは日本の未来に降りかかる重大事項である。真摯な態度で国民と、きちんと対話する姿勢を貫いてもらいたい。国会答弁中の「私が総理大臣ですから…」は見苦しい。
 さて、安倍首相の本心は自分の総裁任期期間中に“戦後レジームからの脱却」の集大成として「改憲を成し遂げたい」と考え、GHQ(連合国軍最高司令官総司令部)が作った平和憲法は「現代にそぐわない」と考えている。確かに自衛隊は世界的には紛れもない軍隊である。
 しかし、自民党が改憲を考えているのはこの一点だけでない。2012年に自民党が改憲の草案を提出している。この中には一般国民にとって驚愕に値する内容が含まれている。憲法第1条から「天皇は、日本国の象徴であり…が「天皇は、日本国の元首であり…」となっている。それって明治憲法?!
 先日、天皇陛下が生前退位のお気持ちを表明された。その生前退位をも憲法改正に利用しようとする輩もいるという。
 是非、皆さんがこの草案に目を通し、そして自分の目で確かめてほしい。自民党が目指している日本国家像を。さらに、この憲法改正起草委員のメンバーに埼玉県選出議員の名前があることも…。

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