論壇
新米トランプ大統領のTPP離脱表明の真意と皆保険制度
戸田市 福田 純
今年1月20日、トランプ米大統領が就任初日に、米国はTPP(環太平洋経済連携協定)離脱を表明した。TPPは日本の医療にも多大な(悪)影響を及ぼすことが懸念されていることから、米国のTPP離脱を単純に喜んでよいものかを考えてみたい。
トランプ氏は「米国第一主義」を、さらに「アメリカを再び偉大な国へ」を掲げ当選。アメリカンドリームをつかみ損ねたかつての中流層だった白人労働者たちが、大きな夢を掴んだ男に「自分たちも夢を掴みたい」との思いで投票したのであろうか。政治経験もない素人が巨大な組織背景を持たずに米大統領に立候補し、大統領になれたのはひとえに、彼の莫大な個人資産によるものであり、“カネの力”で世界一強大な国の大統領になれることを彼は実証したことになる。
さらに、今までに様々な暴言・放言・失言がなされ、世界の多くの人びと、国々を困惑させている。安全保障と経済において、最も有利な条件を引き出そうとしている。
保護主義を強める彼の言動は、培ってきたらつ腕経営マンとしての計算された手法・手腕(やり口)である可能性はある。その彼の性格を分析すると“サイコパス”という性格構造が基にあると考えられる。相矛盾することを平然と言い放ち、またそれを翻すにも自責・呵責の念を持ちあわせない。そればかりか自分と意見の合わない人の話を聞かない。激高して攻撃するといった異常な性格徴候があり、これは安倍首相とも符合する。指導者として非常に危険な要素である。そんな男に“核のボタンが委ねられた”ことを世界中の人々は認識しなければならない。
さて、TPPの批准には参加12カ国の内、6カ国以上の国が承認し、各国GDP(国内総生産)の85%以上が成立要件とされる。GDPが米国約62%、日本約17%を占めるため、両国の参加は批准には不可避で、米国が抜けるとTPPは成立しない。
一方、安倍首相はTPPを日本経済政策の重要課題と考えており、次期米大統領決定後、直ちに動き、世界の首脳を先んじてトランプ・タワーを訪問した。ここでの会談内容はまったく公開されていない。「(今後の日米同盟において)有益な時間であった」と述べていたが、TPP参加へトランプ氏を翻意させることはできなかった。
安倍首相は日本がTPP交渉に参加する際、「日本の農産品重要5品目の聖域が守れない場合はTPPからの脱退も辞さない」と強く明言していたが、その後の交渉態度は一貫して“締結ありき”で進めた。また、TPP交渉は秘密契約のため、交渉過程・内容は厚いベールに包まれていたが、大筋合意後にTPP協定文が公開。その結果「守るべき農産品は守れず、攻めるべき自動車も攻めきれない」といった譲歩に次ぐ譲歩という燦燦たる内容であった。
「米国第一主義」を掲げるトランプ大統領のTPP離脱表明の真意は(TPPのような)多国間協議よりも(FTAなど)二国間のタイマン勝負に持ち込んで、もっと上乗せを狙おう!との思惑が読み取れる。
残念なことに対米二国間交渉で日本は更なる譲歩を強いられることが予想される。各国もトランプ大統領の翻意を促すのは困難、さらに「二国間交渉も避けたい」と考えている。ならば「いっそ米国抜きのTPPを」との案や、TPPよりも経済規模が大きく、中国やインドを加えたRCEP(東アジア地域包括的経済連携)の早期締結を目指そうとの動きも出てきた。
最後に、日本政府はTPPを批准しても「国民皆保険は残す」とは言っているが、批准してもしなくても、20年以上前より、米国の年次改革要望書などから日本への要求は増しており、日本の医療(保険)は守勢一辺倒である。既に40兆円を越え、毎年増え続ける国民医療費を抑制したい財務省は米国の思惑とも合致し、経済財政諮問会議等の意向も取り組んで、皆保険の縮小化、形骸化を目論んでいる。
このような動きに対して、我々医療人は国民の生命および健康維持・平均寿命の伸延に寄与してきた礎である、医療皆保険制度を米国第一主義の餌食にしてはならない。
トランプ氏は「米国第一主義」を、さらに「アメリカを再び偉大な国へ」を掲げ当選。アメリカンドリームをつかみ損ねたかつての中流層だった白人労働者たちが、大きな夢を掴んだ男に「自分たちも夢を掴みたい」との思いで投票したのであろうか。政治経験もない素人が巨大な組織背景を持たずに米大統領に立候補し、大統領になれたのはひとえに、彼の莫大な個人資産によるものであり、“カネの力”で世界一強大な国の大統領になれることを彼は実証したことになる。
さらに、今までに様々な暴言・放言・失言がなされ、世界の多くの人びと、国々を困惑させている。安全保障と経済において、最も有利な条件を引き出そうとしている。
保護主義を強める彼の言動は、培ってきたらつ腕経営マンとしての計算された手法・手腕(やり口)である可能性はある。その彼の性格を分析すると“サイコパス”という性格構造が基にあると考えられる。相矛盾することを平然と言い放ち、またそれを翻すにも自責・呵責の念を持ちあわせない。そればかりか自分と意見の合わない人の話を聞かない。激高して攻撃するといった異常な性格徴候があり、これは安倍首相とも符合する。指導者として非常に危険な要素である。そんな男に“核のボタンが委ねられた”ことを世界中の人々は認識しなければならない。
さて、TPPの批准には参加12カ国の内、6カ国以上の国が承認し、各国GDP(国内総生産)の85%以上が成立要件とされる。GDPが米国約62%、日本約17%を占めるため、両国の参加は批准には不可避で、米国が抜けるとTPPは成立しない。
一方、安倍首相はTPPを日本経済政策の重要課題と考えており、次期米大統領決定後、直ちに動き、世界の首脳を先んじてトランプ・タワーを訪問した。ここでの会談内容はまったく公開されていない。「(今後の日米同盟において)有益な時間であった」と述べていたが、TPP参加へトランプ氏を翻意させることはできなかった。
安倍首相は日本がTPP交渉に参加する際、「日本の農産品重要5品目の聖域が守れない場合はTPPからの脱退も辞さない」と強く明言していたが、その後の交渉態度は一貫して“締結ありき”で進めた。また、TPP交渉は秘密契約のため、交渉過程・内容は厚いベールに包まれていたが、大筋合意後にTPP協定文が公開。その結果「守るべき農産品は守れず、攻めるべき自動車も攻めきれない」といった譲歩に次ぐ譲歩という燦燦たる内容であった。
「米国第一主義」を掲げるトランプ大統領のTPP離脱表明の真意は(TPPのような)多国間協議よりも(FTAなど)二国間のタイマン勝負に持ち込んで、もっと上乗せを狙おう!との思惑が読み取れる。
残念なことに対米二国間交渉で日本は更なる譲歩を強いられることが予想される。各国もトランプ大統領の翻意を促すのは困難、さらに「二国間交渉も避けたい」と考えている。ならば「いっそ米国抜きのTPPを」との案や、TPPよりも経済規模が大きく、中国やインドを加えたRCEP(東アジア地域包括的経済連携)の早期締結を目指そうとの動きも出てきた。
最後に、日本政府はTPPを批准しても「国民皆保険は残す」とは言っているが、批准してもしなくても、20年以上前より、米国の年次改革要望書などから日本への要求は増しており、日本の医療(保険)は守勢一辺倒である。既に40兆円を越え、毎年増え続ける国民医療費を抑制したい財務省は米国の思惑とも合致し、経済財政諮問会議等の意向も取り組んで、皆保険の縮小化、形骸化を目論んでいる。
このような動きに対して、我々医療人は国民の生命および健康維持・平均寿命の伸延に寄与してきた礎である、医療皆保険制度を米国第一主義の餌食にしてはならない。