声明・談話

年頭所感

埼玉県保険医協会理事長 大場 敏明
 あけましておめでとうございます。
 秋に実施された総選挙は、多くの有権者にとってすっきりしないものになりました。
 そもそもの解散に大義がなく、劇場型党首に翻弄され、結果的には小選挙区制度の弊害により、有権者の意向は国会議席に反映されない状況のまま、安倍政権が存続しました。経済成長に期待が寄せられ高い支持をかつては得ていた安倍政権ですが、「森友・加計疑惑」に象徴されるように政権の「奢り」が顕著となり、好景気と言われた企業の内部留保が巨大に膨れすぎるなど、国民、有権者の不信は高まったままとなっています。
 長年来の自民党自身の政策による社会の歪みへの対処として、幼児教育・保育の無償化、高等教育の無償化が掲げられましたが唐突感は否めません。多数の国民が将来の不安に感じている社会保障分野に対して、根本的に充実させるという施策政策は見られません。違憲訴訟中である生活保護基準は4月からさらに切り下げの方向が示され、医療分野、介護分野も一向に好転せず厳しい状況のままです。
 今年は診療報酬と介護報酬のダブル改定の他、国民健康保険の県単位運営の実施、地域医療構想に基づく医療計画の策定など、直近から将来に至るまで国民・県民に提供される医療、介護の内容の方向付けが示されていく年になります。超高齢社会といわれ、多死社会を迎えていくこの時代に、多くの関係者らの議論が必要になってくると思います。単に目先の効率化や適正化、予算の制約ありきで検討や議論をする時期ではなくなっています。
 関連して、医療分野を営利市場として遠隔診療などのビジネスモデルの創設、患者の医療データ収集や、AI化を想定するレセプト審査の全国統一化など、医療情報を巡る対応なども目まぐるしいスピードで議論が進みそうです。
 診療報酬の改定に向け、保険医協会では昨春くらいから継続的に、報酬の是正・改善要望、改定率の大幅引き上げの陳情など、私たちを取り巻く医療環境を少しでも改善させられるよう運動を進めて来ました。改定率は全体ではマイナス改定との報道もありますが、年末最後まであきらめることなくプラス改定を目指し、会員の皆様や議員の方々にも訴えてきたところです。
 協会では個別指導の改善要求を常に掲げて取り組んでいますが、今年は行政手続法に則った運営の実現に向け一層と運動に励んでまいります。
 年末に「号外新聞」で報告をしましたとおり、多数の皆様方に支えていただきましたおかげで、数年来の訴訟に対して全面勝訴判決が出されました。深く感謝申し上げます。判決が示した協会規約や規程に則った運営の重要性を改めて確認いたしましたが、協会のこれまでの歴史と活動に確信を持ち、4060人の会員の皆様方と医療、社会保障の改善運動、協会の発展に向け、より一層力を尽くす所存です。
 皆様方にとって本年が健やかな一年となりますよう心より祈念いたします。

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