論壇

年頭所感

埼玉県保険医協会理事長 大場 敏明
 あけましておめでとうございます。
 昨年の国政は、長期間の安倍政権の「奢り」といえる事象が一層と露わになった一年でした。財務省や防衛省において公文書が隠蔽されていたことが明るみになり、政府の信頼はかつて無いほど揺らぎました。国会では「入管法」「水道法」「働き方改革関連法」「カジノを含む統合型リゾート(IR)実施法」など審議不十分なまま採決が強行され成立しました。国の将来や国民生活に大きく関連する重要な法律であるにも関わらず、各省から提出されている説明データは誤りや改ざんが指摘され、海外諸国の失敗事例が伝えられながらも次々と採決が強行されました。
 グローバリゼーションの席巻が、国政においても結論を急くことを優先させているのかもしれませんが、国民が納得するためのデータや資料などが提示されるべきであり議論も尽くされるべきでした。
 重要法の多くは海外から企業参入が想定されているようです。ジャーナリストの堤未果氏は「日本が売られる」として海外の実例を紹介しています。医療分野でも「医療ツーリズム」として新たに外国人専用の病院開設が川崎で計画されつつあります。
 政府は医療の「成長産業化」をはかる他方で「適正化」と称し一層の経済効率を求めており、今年は社会保障分野で六一項目もの改革案が提示されてくる見込みです。遠隔診療のビジネスモデルの創設、患者の医療データ収集や、AI化を想定するレセプト審査の全国統一化なども議論が進みそうです。
 日本の医療は健康で長寿な国民の生活を、少ないマンパワーと低コストで守ってきました。医療界の使命感によって支えられてきたとも言えますが、効率のさらなる追求や長時間勤務等の慣習が是正されなければ、医療の支え手は減少しかねない時期を迎えているともいえます。
 老若問わず国民の多くが貧困、低所得の状態にありながらも「全世代型社会保障改革」と称して、全世代の国民にさらに負担を強いる施策と消費税率の引き上げが予定されています。国民の期待する社会保障を充実させる政策には遠い実状です。
 昨年協会は、指導大綱を軽視する指導医療官の不適切な発言の是正に力を注いだ他、診療報酬改定の周知期間の確保を求める要求や、消費税損税を抜本解決させるために「ゼロ税率」実現を掲げ、各方面に要請しました。また、首相が拘る「改憲」論議に対峙し「憲法を守り生かす署名」を会員に呼び掛けました。
 課題は様々ありますが、今年も、医療・社会保障制度を改善し、保険医の権利と経営を守る運動を皆様方と進めていく所存です。今年は、役員執行部が会員の皆様方と対話する機会として県内各地で会員懇談会を開催していきます。忌憚ないご意見を是非お聞かせください。
 数年来の訴訟については、昨年高裁で全面勝訴判決が出され、まもなく最高裁からも判決確定の結論が示される見通しです。4,160人の会員の皆様方と医療、社会保障の改善運動、協会のさらなる発展に向け、より一層力を尽くしてまいります。
 皆様方にとって本年が健やかな一年となりますよう心より祈念いたします。

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