論壇

日々ささやかな節電運動を! 皆でできる脱・原発行動として…

戸田市 福田 純
 東日本大震災から9年になろうとしている。地震や津波そして東京電力福島第一原発事故により故郷を追われ、いまだ自宅に戻れずに避難先での生活を余儀なくされてご苦労をされている方々が、今も大勢おられる。
 そんな中、政府は〝原発はベースロード電源〟と位置づけ、原発再稼働の動きを見せ、さらに新しい原発建設計画も見せている。それらの動きに迎合したのか2017年暮れ、埼玉県議会が規制基準に適合した原発の再稼働を求める意見書を賛成多数で採択した。いまだ世論の過半数は原発再稼働に反対である中で、このような採択は埼玉県民のみならず、国民の民意とかけ離れている。今や国会議員に限らず地方議員までもが、選挙の時だけ大衆迎合のポーズを取り繕う〝エセ〟政治家に成り下がっている。これでは真の民主政治は望めない。
 震災直後、東電の電力供給困難を理由に節電を強いられた。だが、それも被災された東北県民のことを思えば、至極当たり前の行動であった。われわれ国民が少しでも被災された方々の不幸や不自由に寄り添う気持ちがあったから、苦にもならなかった。と言うよりも自分たちだけがぬくぬくと電気を使いたいだけ使っていて、被災された方々に対して「申し訳ない」という気持ちがあった。その結果、全国の原発稼働が止まったが、我々は大きな不自由を強いられたわけではなかった。だが、今の私たちの生活はどうであろうか?震災から日が経つうちに、いつしかまた震災前の電気の使い方に戻ってしまってはいないだろうか?政府の言うベースロード電源を容認するかのような生活に舞い戻ってしまっていることを自覚し、反省すべきではないだろうか?
 皆で節電した折、原発の電気がなくとも概ねの生活は成り立ち、大きな支障はなかった事を我々は経験している。さらに今再稼働している原発は33基中7基(2020年2月20日現在)しかない。その後、化石燃料を増やすなどして東電もやり繰りしたが、政府の考えている原発エネルギーをベースロード電源にする必要性がそもそもないのである。
 そこで私たち国民が力を合わせて継続的に行える脱原発運動として、ささやかでも良いから各自節電を行い、政府に「原発なんて必要ない」という意思表示をすることではないだろうか?反原発のデモや集会に参加したりしなくとも、国民による原発不要の意思表示はできるであろう。
 また、すでに日本は人口減少時代になっており、当然使用電力量も今よりは少なくて済むはずである。そうなれば、化石燃料による火力発電も減らせるし、今まで原発に費やしてきた(廃炉を含む)膨大なコストを、もっと再生可能なエネルギーに振り分けられるであろう。
 日本の立地を熟慮すれば、周囲は海に囲まれた島国であり、風力のみならず、潮力や波力発電、また河川の温度差発電も利用可能である。また、火山国でもあり世界第3位という豊富な地熱資源に恵まれながら、地熱発電では世界第10位に甘んじている。ところが、世界の地熱発電には日本の技術と日本製の機器が活躍している。地熱発電の能力は高く宝の持ち腐れ状態にあり、実にもったいない話である。もっともっと地熱発電を活用すべきである。さすれば、日本の原発は不要になるばかりでなく、中東依存している化石燃料を減らすことができ、ひいては地球温暖化で世界中からバッシングを受けることもなくなるであろう。
 最後に、原発稼働による廃棄物の処理技術や処理施設に関しては未だ解決されていない。原発の稼働は〝トイレのないマンション〟に例えられ、住めたものではなく、そこに住まわせるのは無責任極まりない。
 日本は世界有数の火山国・地震国であり、原発の立地に向かない。「今そこにある危機」を日本の政府首脳は軽視し過ぎている。ドイツが先陣を切り、お隣の韓国や台湾までもが脱原発に方向転換しているのに…。

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