診療にAIにはできない人間力を
久喜市 青木 博美
クララとお日さま
カズオ・イシグロの「クララとお日さま」。AIでできたAF(AIのフレンド)と女性のジョジーを中心に物語が展開していく。AFは人間以上に人間らしい「こころ」を持っていく。未来は生活の中にAIが入ってくるのが予感される。
診療の中にAIが
AI搭載の大腸ビデオスコープのデモ機を使用してみた。精査すべき箇所を指摘してくれる。隆起性病変では、ピットパターンから悪性度についての推定も出してくれる。一定の基準でチェックするので一定のレベルの検査精度が確保できる。襞の高まりもしばしばチェックするので煩雑に感じることもあるのだが。
精査すべき箇所を指摘はしてくれるが、精査するのは機械ではなく人間である。隆起性病変は得意なようだが、まだ陥凹性病変、平坦な病変は得意ではないようだ。
上部消化管のAI搭載機の使用経験はないが、講演会でのデモンストレーション映像をみると、優れている。自分では見落としてしまうような、平坦な病変をチェックしていた。専門医レベルが確保できているということになる。
画像診断は得意なのかな
画像診断は意外とAIの得意分野なのかもしれない。健診での眼底写真診断、胸X線判定、肺CT、マンモグラフィー診断などに期待ができる。
皮膚疾患については、IT大手のグーグルがスマホを使っての診断サービスを準備しているという。上手く使えば診療の助けになると期待できそうである。
コンピューターによる診療支援はすでに入り込んでいる
心電図計には自動診断がついているのが標準となっている。一定の基準により診断してくれるので便利であり、いちいち計測しなくてもよい。ただ、ちょっとした変化、陰性U波やJ波などはチェックしないこともあるし、不整脈診断は得意ではないようだ。以前の心電図とも比較してはくれない。
その他、検査データのチェックや処方のチェックなども行われている。
糖尿病では、血糖測定をスマホのアプリで行うことができ、アップデートが容易に行えるので精度がもともとの測定器で行うより良くなっている。低血糖の予測もできるようになりそうである。いずれも診療支援である。
アルゴリズムによる診療支援
home DBP 研究に参加したことがある。患者の情報を入力すると、一定のアルゴリズムで、次に使用する薬剤の提案をしてくるようになっていた。提案を採用するかどうかは医師の判断による。
この方式は、糖尿病、パーキンソン病、脂質異常症など多くのcommon disease に応用できるのではないかと思う。提案を参考にして、患者さんの状況をみながら、医師が決定していくのである。
コンピューターによる診療支援を生かして良い医療を
今のところ今後もしばらくは、AIを含むコンピューターは診療支援の位置に止まるだろう。コンピューターやAIが出してきた情報を勘案して、人間が決定することになる。医者には、機械を超える判断力が要求される。
最も大事なこと、患者の気持ちを受け止めて、時には励ましたり、リードしたりしながら、診療を進めていくこと。手を握ったり、体を支えたりしながら診療する、人間的なことは当分AIにはできないことだと思う。
カズオ・イシグロの「クララとお日さま」。AIでできたAF(AIのフレンド)と女性のジョジーを中心に物語が展開していく。AFは人間以上に人間らしい「こころ」を持っていく。未来は生活の中にAIが入ってくるのが予感される。
診療の中にAIが
AI搭載の大腸ビデオスコープのデモ機を使用してみた。精査すべき箇所を指摘してくれる。隆起性病変では、ピットパターンから悪性度についての推定も出してくれる。一定の基準でチェックするので一定のレベルの検査精度が確保できる。襞の高まりもしばしばチェックするので煩雑に感じることもあるのだが。
精査すべき箇所を指摘はしてくれるが、精査するのは機械ではなく人間である。隆起性病変は得意なようだが、まだ陥凹性病変、平坦な病変は得意ではないようだ。
上部消化管のAI搭載機の使用経験はないが、講演会でのデモンストレーション映像をみると、優れている。自分では見落としてしまうような、平坦な病変をチェックしていた。専門医レベルが確保できているということになる。
画像診断は得意なのかな
画像診断は意外とAIの得意分野なのかもしれない。健診での眼底写真診断、胸X線判定、肺CT、マンモグラフィー診断などに期待ができる。
皮膚疾患については、IT大手のグーグルがスマホを使っての診断サービスを準備しているという。上手く使えば診療の助けになると期待できそうである。
コンピューターによる診療支援はすでに入り込んでいる
心電図計には自動診断がついているのが標準となっている。一定の基準により診断してくれるので便利であり、いちいち計測しなくてもよい。ただ、ちょっとした変化、陰性U波やJ波などはチェックしないこともあるし、不整脈診断は得意ではないようだ。以前の心電図とも比較してはくれない。
その他、検査データのチェックや処方のチェックなども行われている。
糖尿病では、血糖測定をスマホのアプリで行うことができ、アップデートが容易に行えるので精度がもともとの測定器で行うより良くなっている。低血糖の予測もできるようになりそうである。いずれも診療支援である。
アルゴリズムによる診療支援
home DBP 研究に参加したことがある。患者の情報を入力すると、一定のアルゴリズムで、次に使用する薬剤の提案をしてくるようになっていた。提案を採用するかどうかは医師の判断による。
この方式は、糖尿病、パーキンソン病、脂質異常症など多くのcommon disease に応用できるのではないかと思う。提案を参考にして、患者さんの状況をみながら、医師が決定していくのである。
コンピューターによる診療支援を生かして良い医療を
今のところ今後もしばらくは、AIを含むコンピューターは診療支援の位置に止まるだろう。コンピューターやAIが出してきた情報を勘案して、人間が決定することになる。医者には、機械を超える判断力が要求される。
最も大事なこと、患者の気持ちを受け止めて、時には励ましたり、リードしたりしながら、診療を進めていくこと。手を握ったり、体を支えたりしながら診療する、人間的なことは当分AIにはできないことだと思う。