声明・談話
年頭所感
埼玉県保険医協会理事長 山崎 利彦
会員の皆様、明けましておめでとうございます。念頭にあたりまして、新年のご挨拶を申し上げます。昨年6月の定期総会におきまして理事長を拝命いたしました。
継続されている医療費抑制政策
昨年もまた、凄まじい拡大を見せたCOVID-19への対応に忙殺された一年でした。とりわけ、デルタ株の脅威の中で強行された東京五輪・パラリンピックの最中にも、十分な医療を受けられないまま自宅で亡くなるという悲劇が繰り返されたことは忘れられません。
「百年に一度の大災害」を言い訳にすることはできません。1980年代に出されたいわゆる「医療費亡国論」を旗印に、弱者切り捨て・社会保障否定の新自由主義的政策により、既に医療崩壊を来していた日本の現状をCOVID-19は顕在化させたのに他なりません。日本の医療のありがたさを多くの国民が実感され、「医療にエールを」としたにもかかわらず、政府の医療費抑制策路線は変更されることなく続いています。
自民・公明政権は、「国民に真っ当な説明をしない」という特徴が見受けられます。COVID-19対応でも「自粛要請」「ワクチン接種」「PCR検査」等に関し、国民にも医療機関にも丁寧な説明が行われることなく、場当たり的な政策を発表し続けたことが現場の混乱と感染拡大を拡げました。国民の生命・財産を護りつつ感染拡大を防ぐためには「所得補償」を確実に実施した上での行動制限が必要であるにも関わらず、「自粛」という国民の努力に感染予防を丸投げするような政策で多くの飲食店・文化芸能関係者、そして医療機関や社会的弱者に犠牲が強いられた一年でもありました。
届いていない国民と医療現場の声
経団連会長が、日本の賃金について「OECDで相当下位」と認めたのは昨年1月です。いわゆる「分配」機能が弱まり、企業の内部留保が異常なまでに膨らむ一方で、国の「財政難」ばかりを強調してきたことに対し、財界も政権与党も軌道修正を認めざるを得ない状況になっています。「現金では貯金に回る」と国民への現金給付を避ける一方で、法人税減税を繰り返し大企業の内部留保を増やし続ける政策は批判を受けて当然です。欧米では法人税率の引き下げ競争を止め、一定の税率確保のために各国で協調するまでになっています。自民党総裁選では、首相から金融所得課税など応能負担を高める税収確保策が示されたほどでした。
潮流の変化を受け新首相に期待する声もあります。しかし、残念ながら年末の国会等をみるに大規模な補正予算は組まれたものの、従来路線は踏襲されたままです。
医療に関しましても、現政権は多くの国民や医療者が希望していない「マイナンバーカードの保険証化」「初診からのオンライン診療解禁」をはじめ、マイナンバーカードの普及に向けた巨額の予算を組むなど、過去の施策を見直すことなく国民生活や医療現場の実情を軽んじています。来年の診療報酬改定に向けても「かかりつけ医」の制度化、「不妊治療」の保険適用など、医療現場が熱心に求めていない項目を進める一方で、現場で強く求めている「歯科の金パラ逆ザヤ解消」の道筋は示されないままです。
今年は創立50周年を迎えます
このような情勢下ですが、今年こそ、医療や社会保障にとって明るい兆しを掴む転機となるよう、協会活動に全力を尽して参ります。
昨年はWEB上で歯科講習の動画配信を行い、医科でも研究会の配信もはじめました。医療運動では、高齢者の医療費窓口負担2割化の中止要請の他、診療報酬の改定率大幅引き上げの陳情などを進め、会員の皆様の声を議員の方々に訴えてきたところです。3月には恒例の新点数説明会を予定しています。改定内容の理解や問題点の把握にぜひご利用ください。
今年、埼玉県保険医協会は創立50周年を迎えます。これまでの協会活動を引き継ぎ「3つの基本方針」①憲法や法律に基づく公平性、②合理的かつ論理的運動、③EBM(科学的根拠に基づく医療の提供)を貫き、4260人の会員の皆様方と協会の発展に向け一層力を尽くす所存です。
皆様方にとって本年が健やかでご多幸な一年となりますよう祈念いたします。
継続されている医療費抑制政策
昨年もまた、凄まじい拡大を見せたCOVID-19への対応に忙殺された一年でした。とりわけ、デルタ株の脅威の中で強行された東京五輪・パラリンピックの最中にも、十分な医療を受けられないまま自宅で亡くなるという悲劇が繰り返されたことは忘れられません。
「百年に一度の大災害」を言い訳にすることはできません。1980年代に出されたいわゆる「医療費亡国論」を旗印に、弱者切り捨て・社会保障否定の新自由主義的政策により、既に医療崩壊を来していた日本の現状をCOVID-19は顕在化させたのに他なりません。日本の医療のありがたさを多くの国民が実感され、「医療にエールを」としたにもかかわらず、政府の医療費抑制策路線は変更されることなく続いています。
自民・公明政権は、「国民に真っ当な説明をしない」という特徴が見受けられます。COVID-19対応でも「自粛要請」「ワクチン接種」「PCR検査」等に関し、国民にも医療機関にも丁寧な説明が行われることなく、場当たり的な政策を発表し続けたことが現場の混乱と感染拡大を拡げました。国民の生命・財産を護りつつ感染拡大を防ぐためには「所得補償」を確実に実施した上での行動制限が必要であるにも関わらず、「自粛」という国民の努力に感染予防を丸投げするような政策で多くの飲食店・文化芸能関係者、そして医療機関や社会的弱者に犠牲が強いられた一年でもありました。
届いていない国民と医療現場の声
経団連会長が、日本の賃金について「OECDで相当下位」と認めたのは昨年1月です。いわゆる「分配」機能が弱まり、企業の内部留保が異常なまでに膨らむ一方で、国の「財政難」ばかりを強調してきたことに対し、財界も政権与党も軌道修正を認めざるを得ない状況になっています。「現金では貯金に回る」と国民への現金給付を避ける一方で、法人税減税を繰り返し大企業の内部留保を増やし続ける政策は批判を受けて当然です。欧米では法人税率の引き下げ競争を止め、一定の税率確保のために各国で協調するまでになっています。自民党総裁選では、首相から金融所得課税など応能負担を高める税収確保策が示されたほどでした。
潮流の変化を受け新首相に期待する声もあります。しかし、残念ながら年末の国会等をみるに大規模な補正予算は組まれたものの、従来路線は踏襲されたままです。
医療に関しましても、現政権は多くの国民や医療者が希望していない「マイナンバーカードの保険証化」「初診からのオンライン診療解禁」をはじめ、マイナンバーカードの普及に向けた巨額の予算を組むなど、過去の施策を見直すことなく国民生活や医療現場の実情を軽んじています。来年の診療報酬改定に向けても「かかりつけ医」の制度化、「不妊治療」の保険適用など、医療現場が熱心に求めていない項目を進める一方で、現場で強く求めている「歯科の金パラ逆ザヤ解消」の道筋は示されないままです。
今年は創立50周年を迎えます
このような情勢下ですが、今年こそ、医療や社会保障にとって明るい兆しを掴む転機となるよう、協会活動に全力を尽して参ります。
昨年はWEB上で歯科講習の動画配信を行い、医科でも研究会の配信もはじめました。医療運動では、高齢者の医療費窓口負担2割化の中止要請の他、診療報酬の改定率大幅引き上げの陳情などを進め、会員の皆様の声を議員の方々に訴えてきたところです。3月には恒例の新点数説明会を予定しています。改定内容の理解や問題点の把握にぜひご利用ください。
今年、埼玉県保険医協会は創立50周年を迎えます。これまでの協会活動を引き継ぎ「3つの基本方針」①憲法や法律に基づく公平性、②合理的かつ論理的運動、③EBM(科学的根拠に基づく医療の提供)を貫き、4260人の会員の皆様方と協会の発展に向け一層力を尽くす所存です。
皆様方にとって本年が健やかでご多幸な一年となりますよう祈念いたします。