論壇

年頭所感

 会員の皆様、新年明けましておめでとうございます。

 2022年は、理事長を拝命して2年目でしたが、実に混沌・激動・波乱の1年で、様々な困難が押し寄せてきました。
 昨年もまた、凄まじい拡大を見せたCOVID-19への対応に忙殺された1年でした。
 私たち医療者やスタッフ、家族などでも多くの感染が見られたと思われます。医療界の地道な感染対策の取組や活動への評価がいつの間にか当然視されるような法令改定も行われました。国の経済優先政策の一方で医療界、医療分野が虐げられてきている感をお持ちの方も少なくないと思われます。
 75歳以上の患者負担の引き上げが実施され、今後は介護保険の給付カットや利用料引き上げ計画が進められるなど、政府は高齢者の受診や介護利用を制約する方針です。一方で、企業の内部留保が激増しても税収確保に向かうことはありません。社会保障費の抑制は固く守りながらも、防衛費予算は財源を定めずに「5年間で43兆円」という漠然と大幅に増やす方針です。現在の自民公明政権は熟考することなく国民生活に影響の大きい方針を掲げることが多すぎます。
 医療分野でいえば、突然に義務化としたマイナンバーカードのカードリーダーによるオンライン資格確認システムの導入や保険証廃止とマイナンバーカードへの一体化などは、コロナ禍にある私たち医療者や国民に大きな混乱をもたらしています。特に医療DXは余りに進め方が強引です。今後は医療予算の制約という課題と強引な医療DX強要の2面から医療界が追い込まれかねません。「かかりつけ医」も実質的に法令化の路線が敷かれてしまい、外来医療の提供体制で国の管理が一層と進められる恐れがあります。こうした厳しい情勢ですが、会員の皆様方としっかりと運動をすすめていく所存です。
 昨年の後半は資格確認システムの4月義務化の撤回運動を集中的に取り組みました。また、創立50周年を迎え、秋からWEB(オンライン)による講演会、シンポジウムを開催し多数の会員に参加をいただいております。年明け以降も内田樹さんをはじめ記念講演会の開催が続きますし、見逃し配信としてこれまでに開催してきたものもご覧になれます。協会の3つの活動方針と今日の情勢に関連するテーマで開催していますので、ぜひご利用ください。
 2023年も厳しい1年に違いありませんが、住民、県民、議員の方々に、開業医の声を届けるべく、協会活動を邁進させてまいります。
 また、協会の「3つの基本方針」①憲法に基づく公平性、②合理的かつ論理的運動の展開、③EBM(科学的根拠に基づく医療の提供)を貫き、次の10年の発展も作り上げていきたいと思います。4315人の会員の皆様方と協会の発展に向け一層力を尽くします。今後のご協力をお願いし、年頭の挨拶といたします。
2023年 元旦
埼玉県保険医協会理事長 山崎 利彦

Copyright © hokeni kyoukai. All rights reserved.

〒330-0074 埼玉県さいたま市浦和区北浦和4-2-2アンリツビル5F TEL:048-824-7130 FAX:048-824-7547