保険証発行義務に関する施行規則の改定に対するパブリックコメントを提出しました。
厚労省は5月24日から6月22日まで1カ月間で、資格確認書や保険証の発行義務を規定している健保法施行規則令(厚労省令)等の変更に関するパブリックコメントを募集していました。
保団連などがSNSで中心になってコメント提出を呼びかけたところ、期限までに5万件を超えました。協会からも会員にファックスにて提出を呼びかけていました。
◆資格確認書の自動交付などは法的根拠を持たないまま
本パブコメ募集は、施行規則改定案が発表されない段階で募集がされるという、信義を欠いた募集手続であり問題がありました。
全国民に影響を及ぼす施行令の文案を提示することなくコメント募集をしている実態は、政府、厚労省が進める「保険証廃止」策がいかに性急にすすめられているかを示したものといえます。また、昨年成立した法律では、保険証を廃止した後に、「申請者に『資格確認書』を発行できる」ことが記載されています。しかし、申請しない者にはアナログで保険資格を証明するものが一切なくなる「無保険状態」が多数発生することを案じた政府は、昨年夏に「最終とりまとめ」として大きく法律の趣旨を修正しました。
法律の「申請者に発行=申請主義」は見送られ「自動交付」「最長5年」とする国民世論や法律の問題を補う内容に「最終とりまとめ」は到達しました。
しかし、このまとめは閣議決定すらされず、法的な根拠をもっていない。政府の意向ひとつで、資格確認書の交付ルールがいつでも変更できる状態にあることを意味します。
既に保険証廃止後には「資格確認書」が届けられるとして、マイナ保険証を慌てて申請しなくとも良い旨のアナウンスも拡がりつつあるが、この状況はひとえに世論の高揚にかかっています。
保団連などがSNSで中心になってコメント提出を呼びかけたところ、期限までに5万件を超えました。協会からも会員にファックスにて提出を呼びかけていました。
◆資格確認書の自動交付などは法的根拠を持たないまま
本パブコメ募集は、施行規則改定案が発表されない段階で募集がされるという、信義を欠いた募集手続であり問題がありました。
全国民に影響を及ぼす施行令の文案を提示することなくコメント募集をしている実態は、政府、厚労省が進める「保険証廃止」策がいかに性急にすすめられているかを示したものといえます。また、昨年成立した法律では、保険証を廃止した後に、「申請者に『資格確認書』を発行できる」ことが記載されています。しかし、申請しない者にはアナログで保険資格を証明するものが一切なくなる「無保険状態」が多数発生することを案じた政府は、昨年夏に「最終とりまとめ」として大きく法律の趣旨を修正しました。
法律の「申請者に発行=申請主義」は見送られ「自動交付」「最長5年」とする国民世論や法律の問題を補う内容に「最終とりまとめ」は到達しました。
しかし、このまとめは閣議決定すらされず、法的な根拠をもっていない。政府の意向ひとつで、資格確認書の交付ルールがいつでも変更できる状態にあることを意味します。
既に保険証廃止後には「資格確認書」が届けられるとして、マイナ保険証を慌てて申請しなくとも良い旨のアナウンスも拡がりつつあるが、この状況はひとえに世論の高揚にかかっています。
行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律等の一部を改正する法律の一部の施行に伴う厚生労働省関係省令の整備に関する省令案(仮称)に関するパブリックコメント(案)
埼玉県保険医協会 2024年6月19日提出
(1)本パブコメ募集では、健康保険法、国民健康保険法等のそれぞれ施行規則を改定するとして意見を募集しているものの、施行規則の改定案を提示していない。
昨年6月の法令改定を受けた施行規則であり、上位にある法の趣旨に則った改定案とするにしても、コメントを募集する以上は、国民や有権者等に案文の提示をすることは、行政担当者には求められている。
特に、本件は、全ての国民が従前と変わらず受療していけるのかが問われている事案であり、国民皆保険制度が維持されていくのかを示す、大変重要な施行規則の改定であるが故、コメント募集の手続を進める以上は文案の提示がより一層求められている。
さらに、本件の位置づけは、国政と政府の判断において法令の規定とは別の方針が示され、それに基づく関連事務通達も発出がされている極めて例外的な案件である。
健康保険証51条の3では、いわゆる「資格確認書」の交付を求めた被保険者に対して交付する、としているが、2023年8月に政府から示された「最終とりまとめ」では、当面の間は職権交付を行うとしており、このことを前提として、開会中の第213回国会でも、多くの質疑が衆参両議員と国務大臣らによって繰り返し行われているところである。
(2)本パブコメ募集にあたって、これまでの政府からの周知状況では、特に「資格確認書」の扱いが、国民に対して明瞭に伝えられてきていない。昨年成立した法律には、「申請者に「資格確認書」を発行できる」ことが記載されているが、現在の政府方針は「最終とりまとめ」として大きく法律の趣旨を修正した。法律の「申請者に発行=申請主義」は見送られ「自動交付」「最長5年」とする国民世論や法律の問題を補う内容に「最終とりまとめ」は到達した。
パブリックコメントとして募集する規則規則の本体法律が、政府方針と乖離している中で、施行規則の条文案の提示は必要である。示されない状態で、パブリックコメントを募集するという手続そのものが有効であるのか、疑問を持つ。
全国民に影響を及ぼす施行令の文案を提示せずにコメント募集をしている実態は、保険証廃止を決定した健康保険法の施行が現実的でなく、行政による施行規則案の提示が間に合わないほどの性急性を示している。本件における施行規則の改定は、政府の「最終とりまとめ」の方針に沿った記述とすること、または、「最終とりまとめ」方針のとおり、当面の間は改定を急がないこととされたい。
(3)国民健康保険法とその施行規則においては、「資格証明書」「短期被保険者証」の廃止に伴い、被保険者の保険料(税)の納付相談の機会などの法令根拠が曖昧になることが懸念されている。施行規則において、少なくとも従前と同様の相談活動などが自治体において行えるような、短期被保険者証等に関する規定や保険料納付に関する規定として整備されたい。
(4)健康保険法施行規則の一部改正について、「改正法第5条による改正後の健康保険法において、被保険者又は被扶養保険者が電子資格確認を受けることができない状況にあるとき」とあるが、電子資格確認(オンライン資格確認)は現行の健康保険証でも確認をとることができる。今まで通り健康保険証を残せば、被保険者に自己申告で要求させ、保険者が受付の手間をかけて新たに資格確認書を発行しなくとも、「電子資格確認を受けることができない状況」は発生しない。政府は国民に対し無用な混乱を与えるべきではない。
(5)当然のことながら、マイナンバーカードは希望者が任意で取得するものと法律で定められており、取得を希望しない者に対し、保険証を盾にこれを強要する行為はあってはならない。真にマイナンバーカードの普及率を上げたいのならば、継ぎ接ぎだらけの改案で国民を混乱に陥れるより、マイナンバーカードの安心性と利便性の向上に時間と財源を投資すべきであり、なにより政府の信頼回復に努めるのが順当である。
昨年6月の法令改定を受けた施行規則であり、上位にある法の趣旨に則った改定案とするにしても、コメントを募集する以上は、国民や有権者等に案文の提示をすることは、行政担当者には求められている。
特に、本件は、全ての国民が従前と変わらず受療していけるのかが問われている事案であり、国民皆保険制度が維持されていくのかを示す、大変重要な施行規則の改定であるが故、コメント募集の手続を進める以上は文案の提示がより一層求められている。
さらに、本件の位置づけは、国政と政府の判断において法令の規定とは別の方針が示され、それに基づく関連事務通達も発出がされている極めて例外的な案件である。
健康保険証51条の3では、いわゆる「資格確認書」の交付を求めた被保険者に対して交付する、としているが、2023年8月に政府から示された「最終とりまとめ」では、当面の間は職権交付を行うとしており、このことを前提として、開会中の第213回国会でも、多くの質疑が衆参両議員と国務大臣らによって繰り返し行われているところである。
(2)本パブコメ募集にあたって、これまでの政府からの周知状況では、特に「資格確認書」の扱いが、国民に対して明瞭に伝えられてきていない。昨年成立した法律には、「申請者に「資格確認書」を発行できる」ことが記載されているが、現在の政府方針は「最終とりまとめ」として大きく法律の趣旨を修正した。法律の「申請者に発行=申請主義」は見送られ「自動交付」「最長5年」とする国民世論や法律の問題を補う内容に「最終とりまとめ」は到達した。
パブリックコメントとして募集する規則規則の本体法律が、政府方針と乖離している中で、施行規則の条文案の提示は必要である。示されない状態で、パブリックコメントを募集するという手続そのものが有効であるのか、疑問を持つ。
全国民に影響を及ぼす施行令の文案を提示せずにコメント募集をしている実態は、保険証廃止を決定した健康保険法の施行が現実的でなく、行政による施行規則案の提示が間に合わないほどの性急性を示している。本件における施行規則の改定は、政府の「最終とりまとめ」の方針に沿った記述とすること、または、「最終とりまとめ」方針のとおり、当面の間は改定を急がないこととされたい。
(3)国民健康保険法とその施行規則においては、「資格証明書」「短期被保険者証」の廃止に伴い、被保険者の保険料(税)の納付相談の機会などの法令根拠が曖昧になることが懸念されている。施行規則において、少なくとも従前と同様の相談活動などが自治体において行えるような、短期被保険者証等に関する規定や保険料納付に関する規定として整備されたい。
(4)健康保険法施行規則の一部改正について、「改正法第5条による改正後の健康保険法において、被保険者又は被扶養保険者が電子資格確認を受けることができない状況にあるとき」とあるが、電子資格確認(オンライン資格確認)は現行の健康保険証でも確認をとることができる。今まで通り健康保険証を残せば、被保険者に自己申告で要求させ、保険者が受付の手間をかけて新たに資格確認書を発行しなくとも、「電子資格確認を受けることができない状況」は発生しない。政府は国民に対し無用な混乱を与えるべきではない。
(5)当然のことながら、マイナンバーカードは希望者が任意で取得するものと法律で定められており、取得を希望しない者に対し、保険証を盾にこれを強要する行為はあってはならない。真にマイナンバーカードの普及率を上げたいのならば、継ぎ接ぎだらけの改案で国民を混乱に陥れるより、マイナンバーカードの安心性と利便性の向上に時間と財源を投資すべきであり、なにより政府の信頼回復に努めるのが順当である。
以上