【理事長談話】
健康保険証廃止の「先送り」「期限の見直し」の発信に賛同します
~健康保険証を存続させる国会決議にむけ早急な対応を求めます~

2024年9月10日
埼 玉 県 保 険 医 協 会
理 事 長  山 崎  利 彦
 報道によれば9月7日、8日と連日に、自民党総裁選に出馬を表明している候補者である林官房長官、石破元幹事長がそれぞれ、12月の健康保険証の廃止(新規発行の停止)に対して「先送り」「延期」について言及したとされています。

 保険証廃止の期日まで3カ月を切っている現段階でも、患者や国民に対する情報周知は全く不十分な状態です。「12月以降に健康保険証は使えなくなるのか」「資格確認書はどのように届けられるのか」「マイナ保険証でなければ保険診療が受けられなくなるのか」など、市民からの疑問が本会には連日寄せられてきています。
 保険証を発行する立場の保険者においても、加入者・被保険者への案内や情報提供ができていない状況から対応が遅れていることが推察され、また、保険証に代わる資格確認書の発行が煩雑であり発行体制を確立できると見通せているところは少ないものと見られます。医療機関においては、12月以降における患者の個々の保険証の変更見込みについて答えることは不可能です。今後、大きな混乱が医療機関のみならず、役所や保険者への問合せ先などにおいて生じることが見込まれます。
 本会が8月に実施した会員アンケートの中間速報では、今年5月以降にもマイナ保険証の利用に伴いトラブルや不具合を経験している医療機関は7割を超えています。昨年来、総点検、紐づけの徹底が行われてきたはずですが、これまでと同様なトラブルや不具合が発生し続けています。そのため、12月の保険証廃止に対しては会員の98%が反対の意向を示している状況です。医療機関では患者が慣れ親しみ、患者が必ず保有している健康保険証の提示を求めることによって、確実に資格確認を行っているのが現状です。

 患者や国民の健康保険証がどのように切り替わっていくのかという案内不足の面、患者の資格確認を確実に行う実務面からも、保険証廃止を延期することが求められています。廃止を強行していけば大きな混乱は必至です。こうした政権与党による人災ともいえる事態に対して、自民党総裁の候補者が積極的に修正する方針を示したことに「賛同」するものです。
 一方でここまでの準備不足を棚にあげ、今の段階において保険証廃止に関わる大切な情報を国民に周知することよりも、マイナ保険証の利用率向上ばかりに躍起になっている武見敬三厚労大臣や河野太郎デジタル大臣たちの不見識さ、自身の政策実現を見通せない無責任さに抗議の意思を表明するとともに、岸田政権に代わる新たな内閣にはこれまでの責任を踏まえ、両大臣には退陣することを求めるものです。

 折しも、与野党における総裁や代表の選出選挙が連日報じられています。私たちはこれまで国民皆保険制度の堅持のためにも、マイナ保険証への一本化は性急すぎで、従来どおりに健康保険証を発行することで、患者にマイナ保険証との選択肢を残すよう要望してきています。2年前から岸田政権が突然に推進した保険証廃止の方針が、新たに選出される政権によって毅然と修正されていくことを期待します。そして一刻も早く保険証廃止の延期が実現するよう与野党とも共同して早期に国会決議を行うことを強く求めるものです。
以上

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