声明・談話

【理事会声明】
マイナ保険証の利用率は停滞
保険証を復活させ併用を認めるよう求めます

2026年7月29日 埼玉県保険医協会理事会
 2026年7月末をもって期限切れの保険証でも資格確認を行い得るとしていた暫定措置が終了します。いわゆる「紙の保険証」は、既に2024年12月で新規発行終了、2025年12月で国民が既に持っている社保の保険証など全てを廃止することとされてきました。保険証の代替の証書として、「マイナ保険証」か「資格確認書」を使用することになっています。
 私たちはこれまでも、保険証を復活させ、マイナ保険証との併用(併走)を要請してきたところですが、今月末をもって暫定措置が終了するこの機会に改めて、保険証を廃止することに抗議しますまた、全ての国民に対して、国と保険者の責任で、「保険資格を証明する証書を自動交付すること」、すなわち保険証の復活を求めます。マイナ保険証と併用できる施策を求めます。
1 代替措置の曖昧さ
 患者、国民に慣れ親しまれてきた「保険証」を廃止し、「資格確認書」か「マイナ保険証」により保険診療の資格確認をするという新たなルールが行き渡らない中で、これまで3度の暫定措置が講じられてきました。
 しかし、期限切れの保険証でも資格確認を行い得るという暫定措置を、国民、患者には知らせずに、医療機関にのみ周知紹介をするという厚労省の態度は、保険証廃止によって医療現場に混乱が拡がらないようにするための、その場しのぎとして、曖昧なままに軟着陸させようとしたものとしか考えられません。

2 保険証の意義-全国民に必ず届けられており国民皆保険の根幹
 保険証は、誰しも必ず手元に届けられることになっています。この仕組みが保険証の持つ大きな意義であり、日本が誇る国民皆保険制度の設計の根幹です。
 医療を担当する私たちは、「患者は必ず保険証を持っている」という制度の基本原則を前提に保険診療を担当することができました。(これまでも例外的に保険証を持たない患者もいるが、あくまで例外であった)。

3 似て非なる資格確認書の課題-自動交付は約束されず、保険者マター
 保険証を廃止したら医療機関の資格確認はしっかり行えないことを厚労省は認めており、その対処策として「資格確認書」を患者の申請によらず、プッシュ式交付・自動交付する現状の交付方法を法令規程とは別に容認し続けています。保険証廃止直後の2025年は全ての後期高齢者に資格確認書を自動交付、2026年夏以降も、85歳以上には自動交付、それ以下の後期高齢者は各県ごとの判断で自動交付対象の設定、資格確認書の希望者用に申請書の一斉送付なども認めています。しかし「資格確認書」の交付方法は、法令上は保険者が判断することとなっているため、自動交付する対象、有効期限の設定、証書の形状などは交付する保険者ごとに多様になってしまっています。必ず国民の手元に自動的に届けられるものでない点が、保険証との決定的な違いとなっています。医療機関の窓口では全ての保険者の資格確認書の交付ルールを把握ができませんので、患者に交付方法の説明がしきれなくなります。

4 マイナ保険証の問題点-全てが自己責任下 利用率は半年で0.67%増
 保険証を廃止しマイナ保険証を原則とする施策は、国民皆保険制度の基本原則を大きく転換することになるものです。マイナカードの取得が義務でないのに「マイナ保険証を基本とする」という国の方針は矛盾しています。マイナ保険証は、カード・スマホ搭載のいずれも、交付、保険証化の手続、5年、10年ごとの更新手続など、すべて自己の責任下で行わなければならない仕組みです。皆保険制度からこぼれ落ちてしまう国民がいることを容認している点が最大の問題です。
 肝心のマイナ保険証利用率も保険証が廃止となった2025年12月以降は今年6月までに0.67%しか増えていません(「利用件数/オンライン資格確認の件数」で算出したもの。2025年11月時点49.48%、2026年6月時点50.15%)。これまでもマイナ保険証を使用した際の不具合が指摘されてきていますが、現在でも医療機関の窓口で同様に発生し続けています。マイナ保険証で患者資格が確認できない場合には「10割負担」を患者に求めざるを得ませんが、患者にこのような対応をしなければならない医療機関側も困ってしまっています。

5 国民皆保険を守るために保険証との併走・併用を
 保険診療において診療を担当する保険医、医師、歯科医師として私たちはこれまでも、政府の暫定措置や保険証廃止施策、マイナ保険証の執拗な宣伝策に対して「医療機関への丸投げによる解決」「資格確認方法の周知不足」「マイナ保険証PRに傾きすぎ」「資格確認実務はどんどんと困難に、「なりすまし防止」はどこへ」「療担を自ら形骸化する無責任・曖昧な厚労省-国会は保険証復活の審議を」など指摘をしてきました。
 マイナ保険証は使用したい方が使用し、保険証を使用したい方に保険証を使用することを認め、一定期間「併走」「併用」とすれば、問題は収束します。
 政府と与党はこれまでの拙速な進め方と周知不足を認めて、早急に保険証を復活させてください。

厚労省データに基づき埼玉協会が作成

 

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