「マイナンバーカードによるオンライン資格確認に関するアンケート」の集計結果を発表しました。

2020年9月3日
◎7月に「オンライン資格確認導入に向けたご案内」リーフレットが、全医療機関に届けられ、資格確認のために使用する、マイナンバーカードのカードリーダーを政府が無料配布をすること等、医療機関のメリットが紹介されました。

◎「オンライン資格確認」システムが政府から医療機関に本格的に紹介されるのは今回が初めてですが、リーフレットでは、記述が不足がちなためさまざまな困惑、躊躇する声が本会に寄せられました。

◎協会では、リーフレットがいきわたり対応を検討している時期である8月上旬に、開業医会員を対象にアンケート調査を実施しました。ご協力をいだきました皆様方に感謝申し上げます。

◎協会では、本アンケートで寄せられた医療現場の意見・要望を踏まえ、関連する情報の提供等を、政府に求めていく予定です。

◇ マイナンバーカードによるオンライン資格確認に関するアンケートの集計結果(PDF)
 

◆◆カードリーダー申請 わずか医科診療所9.0% 歯科診療所13.6%

(埼玉保険医新聞11月5日号)

 マイナンバーカードの普及数が伸びない状況を受け、政府は新たに自動車運転免許証との連結、一体化などについても方針を固めたことが報じられている。早ければ2026年に実施とされている。
 保険証化も推進がされているが、10月14日の厚労省の審議会でオンライン資格確認のカードリーダー申請状況が初めて報告された。医科診療所9.0%、病院11.6%、歯科診療所13.6%といずれもわずか1割前後でしかなかった(表)。来年3月からシステムを開始する予定で進めているが、少数の医療機関でスタートせざるをえない状況が判明した。
 また申請した医療機関が電子情報を取扱うための「ガイドライン」「規程案」が十月になりようやく示されたが、肝心のマイナンバーカードを取扱うためのガイドラインは未公表のままである。政府は申請数が少数となっている状況を深刻に受け止めており、レセコンメーカーや医療団体等に対して医療機関へ申請させるよう働きかけを行うこととしている。

申請は様子見を 取り下げも可能
 施行スケジュールの見直しも求められかねない状況になったオンライン資格確認であるが、協会では引き続きカードリーダー申請については「様子見」を推奨することとしている。既に申請をしている場合の「取り下げ」もまだ可能な時期である。詳細については「医療機関等向けポータルサイト」または協会までお問い合わせをいただきたい。政府は資格確認システム導入に伴う医療データの取扱い方や電子カルテの標準化についての議論も行っているが、政策には医療現場の声を反映することが求められている。

(表)オンライン資格確認のカードリーダー申請割合
   20年8月7日受付開始~10月11日時点
 
 (件数)
※社会保障審議会医療保険部会(10月14日)資料より協会で編集
 

◆◆オンライン資格確認「システム」への対応

◇申請数は少なく政府は焦り
 システムスタートまでの日程が4カ月を切った段階で、医療機関のカードリーダーの申請数が一割程度と判明した10月14日の社会保障審議会医療保険部会では、「課題」と「これからの対応」などの議論がされている。
 「課題」として①情報の周知不足、②様子見の状況、③新型コロナウイルスの影響、があげられている。協会の会員アンケート結果が示した内容と同じ課題であり、カードリーダーの申請が進んでいないことを政府が認めた格好である。
 「これからの対応」として公的病院への働きかけや、医師会、歯科医師会への働きかけ、業者への働きかけなどをあげている。現時点で医療現場にとって利益に映らないシステムの導入を医療団体が会員に呼びかける事態は少ないであろう。行政、支払基金等や業者からの勧誘が強化されてくることが予測される。

◇レセコンメーカーから申請を奨められたが…
 協会には会員から「レセコンメーカーにカードリーダーの申請を奨められている」と困惑しているとの相談が寄せられている。
 前月号までに紹介しているが、カードリーダーに係る費用やオンライン環境の整備に係る補助金は2023年まで申請が可能であり、早急に判断するなど焦る必要はない。そもそものマイナンバーカードの普及状況は現在でも2割台にとどまっており、圧倒的多くの患者は現在の被保険者証で受診することが見込まれている。
 業者の奨めに従い早期に導入するメリットはほとんどないといえよう。

◆◆申請した医療機関向けのガイドライン

◇繊細な患者情報の扱いを想定
 10月に厚労省は、「オンライン資格確認等、レセプトのオンライン請求及び健保組合に対する社会保険手続きに係る電子申請システムに係るセキュリティに関するガイドライン」と「安全対策の規程例」を公表した。
 「オンライン資格確認システム」と称され推進されているが、システムはレセプト請求を取扱う機能と同時に、患者の薬剤情報閲覧機能、特定健診情報閲覧機能の取扱い事業者になることが求められる。特に後者の医療情報は、経年的に拡張していくことが計画され、手術歴や傷病名、実施医療機関名などまで検討にあげられているが、広く周知がされていない。カードーリーダーの申請により、これらの取扱い事業者に組み込まれていくことが見込まれている。
 今回厚労省が示したガイドラインや規程例の中には「オンライン資格確認等システムは、患者の資格情報等といった慎重な取扱いを要するため、安全性の高いセキュリティ対策を講じる必要がある」などと説明があり、電子データを取扱うための管理責任、情報管理の責任、機器本体の管理責任、人員体制の管理責任などの定めと、各医療機関において取扱い規程を定めることを求めている。
 これまでも電子カルテを取り扱うにあたっては「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」が示されているが、そうした既述のものも含み多くのガイドラインに沿った対応を求めている。

マイナンバーカードの取扱いガイドライン
 膨大な分量が示されているものの、「マイナンバーカード」を医療機関が取扱うためのガイドラインはこの中に含まれていない。今後、追加されると思われる。

●政府の掲げる オンライン資格確認の目標と課題、これから
 

◆◆オンライン資格確認に関する続報

 (埼玉保険医新聞10月5日号)

 先月、先々月とマイナンバーカードの保険証化とオンライン資格確認の状況を報じてきた。会員アンケート結果で半数が申請せず「様子を見ていく」と回答している状況を伝えている。今月号では年代と現在のレセプト請求状況ごとの申請意向を別表のとおり紹介する。

表“当面は様子見”は世代やレセプト請求方法問わず
 
◆カードリーダーの取り消しは無償で簡単
 「既にカードリーダーの申請をしたが、当面は様子見にしたい。申請の取り消しはできるか。それとも、機器の実費代の10万円相当を支払わなければならないのか」との照会が協会に寄せられた。
 前号で報じたとおりカードリーダーの提供を受けてマイナンバーカードに対応しなければ、実費(10万円相当)の返還が必要となる。しかし、現在は申請の時期であり、カードリーダーが提供されているわけではない。無償で申請の取り消しは可能である。
 取り消し方法は簡単だ。申請をしたポータルサイトの申請ページで申込台数を「0台」、メーカー名は「???」とすれば良いだけである。
 出荷が最も早いメーカーは「アルメックス」で12月末頃からの配送とされており、ポータルサイトによれば1カ月前であれば変更可能とある。申請取り消しを行いたい場合は早めに手続きをされたい。

◇ ご存じですか? 「顔認証付カードリーダー」のこと (20年10月埼玉保険医新聞 PDF)

◆◆「オンライン資格確認」当面は様子見が半数

 (埼玉保険医新聞9月5日号)

 協会が8月上旬に実施した「マイナンバーカードによる『オンライン資格確認』に関する会員アンケート」の集計がまとまった。
 マイナンバーカードのカードリーダーの申請について、「当面見送る」との回答は医科歯科とも半数で、「申請しない」と合わせると、医科で63%、歯科で75%が申請に前向きでないことが判明。その理由について医科72%、歯科68% が「わからないことが多い」と回答した。「申請する」は医科で20%、歯科で10% だった。
 

◆◆どうするオンライン資格確認(続編)
マイナンバーカードリーダー「申請する」は少数
情報が少なく困惑者多数

 (埼玉保険医新聞9月5日号)

 来年3月から導入される「オンライン資格確認」であるが、七月に政府から全医療機関に宛てたリーフレットには医療機関のメリットと申請を急がす記述が目につき、システムのデメリットや導入を判断するための情報が書かれていなかった。
 こうした情報提供の在り方が、申請を検討するうえで「わからないことが多い」とする回答が多数になったとみられる。
 「現在の電子カルテとの連動が確認できていない」(内科・60代)、「メリットが多ければ行う予定」(内科・60代)、「説明がほとんどなく、中途半端な作業になるのは困る」(歯科・六〇代)、「もう少し情報を得たい」(内科・70代)などの追加情報を求める声は多い。
 「マインナンバーカードを持っている人が少ない。最初は不備が多くなりそう」(歯科・40代)、「高齢の患者にはわかりにくいからやめてほしい」(歯科・40代)など、マイナンバーカードの普及状況や、システムが定着するまでの患者への説明の難しさを懸念する声も寄せられた。また「申請をしない」理由として「コロナ対策で余裕がない」(整形外科・40代)との意見もあった。
 一方で「申請する」とした回答者があげたその理由は「無料で提供されるから」が医科46%、歯科47%と多く、カードリーダーが無料提供されることが大きな判断要素にあげられている。また、カードリーダーの取り扱いガイドラインなど医療機関の実務上の義務事項が今後示された場合に、「順守できるか」との問いには「見てみないとわからない」が医科59%、歯科47%であった。
 
◇オンライン資格確認のメリット オンライン資格確認のデメリット
 それぞれの回答結果は表のとおりである。
 本アンケートの回答傾向は医科、歯科とも同様であった。現段階では医療界全体が情報不足の状況にあることが所以かもしれない。
 メリットと思われるものでは最多は「返戻がなくなる」で医科62%、歯科60%、二番目が「保険証の入力をしなくてよい」が医科51%、歯科56%、三番目が「処方履歴の閲覧可能」で医科43%、歯科35%の回答が寄せられた。
 デメリットと思われるものでは最多は「費用がかかる」で医科61%、歯科65%、二番目が「一般の健康保険証とマイナンバーカードとどちらにも対応しなければならない」が医科56%、歯科58%、三番目、四番目は「紛失盗難などへの責任の大きさ」「職員教育」が続いている。
 
◇全般の単純回答
 今回が初めて実施した、オンライン資格確認に関する会員アンケートであり、そもそも「資格確認がオンラインでできるようになること」についての設問を設けた。
 医科歯科とも四割弱が「知っている」と回答している。
 また、オンライン資格確認の導入は義務でなく任意であることについては、医科38%、歯科27%が「知っている」と回答した。
 今後も保険証の目視確認の方法が可能であることについても、医科46%、歯科36%が「知っている」と回答している。
 オンライン資格確認は、マイナンバーカードに依らず、保険証で行えることについて医科39%、歯科30%が「知っている」と回答している。

◇リーフに未記載事項
 申請期限が3年先まであることを「知っている」は医科14%、歯科14%と少数であった。導入の検討にあたり、機器や補助金の申請できる期限は重要な検討材料であるが、リーフレットに記載されていないために知られていないことが判明している。
 導入時以降の機器交換や維持費用については医療機関に負担が生じることについて、「知っている」は医科14%、歯科14%であった。リーフリットに全く触れられていない事由は認知されていない。
 今後、マインナンバーカードの取扱いが、保険証の資格確認に関わる事項であり、個別指導の指摘事項等に加えられる(療養担当規則に掲げられる)可能性についての設問では、「知らない」が医科62%、歯科64%で、「詳しくは知らない」と合わせると医科歯科とも95%以上に知られていないことが示された。
 アンケートには多くのフリーアンサーが寄せられた。設問を掛け合わせた集計結果等については次月号以降に紹介していく予定である。

◆◆会員アンケートで寄せられた質問意見に応えて

 先月号でオンライン資格確認について「申請は任意」「当面は様子見」と呼びかけたところである。別記の会員アンケートでは、様々なご意見や疑問、質問等が寄せられたが、現在、支払基金サイトや政府等の動きから可能な範囲で解説したい。申請については、当面様子をみていくことを推奨する。

◇取り合えず申請しておくことはダメ
 アンケートで「申請する」とした回答者が挙げた理由で最も多かったのが「無料で提供されるから」であった。
 判断材料の少ない状況では、無料提供であり、とりあえず申請しておくことを考える方も少なくないかと思われる。医療機関に送られたリーフ
 レットでは、そのことが否定されていた訳ではなかった。しかし、8月7日付けで、支払基金が運営する「オンライン資格確認・医療情報化支援基金関係医療機関等向けポータルサイト」に重要事項が周知されている。
 「また、顔認証付きカードリーダーの提供を受けたにもかかわらず、結果として、オンライン資格確認を導入しなかった場合、顔認証付きカードリーダーの費用相当額を返還いただくこととなりますのでご承知の上、お申し込みいただきますよう、お願いします」と掲載されたのである。
 要するにカードリーダーの提供を受けた場合には、必ず、マイナンバーカードに対応せよ、さもなければ、実費(約10万円)を返還せよ、ということであるので注意されたい。
 本来このような重要説明はリーフレット上に記載がされておくべきであり、「取り合えず申請」は返金の可能性があることを医療機関に説明されるべきである。

◇保険証情報の入力は不か?
 リーフレットでは、カードリーダーを使用すれば、保険証情報が自動取得され、レセコンや電子カルテへ保険証情報の入力がなくなるとの説明がされている。
 アンケートでもマイナンバーカードによる「オンライン資格確認」のメリットの二番目に「保険証への入力をしなくてよい」が挙げられている。
 この点については、各医療機関で使用しているレセコンや電子カルテの確認が必要だ。全ての機器で入力が省けるとは限らないようである。カードリーダーに保険証情報が表記されても、レセコンや電子カルテと連動していなければ情報は転送されない。現段階では多くの機器が後者であり、入力は従前同様に必要になろう。

◇返戻がなくなるのか?
 アンケートではメリットのトップが「返戻がなくなる」が挙げられている。実は、リーフレットでは、資格過誤による返戻レセプトが「削減」とあるものの、「なくなる」と保証はしていない。
 これは最終的には、医療機関における事務実務に由来することによる。オンラインで資格確認を実施して、資格過誤が判明するのは、保険証確認、すなわちマイナンバーカードをカードリーダーにかざして、オンラインが稼働している時のみである。
 患者がマイナンバーカードを持参しない場合や、現在多くの医療機関で実施する月に一度の資格確認のみでは、確実に資格過誤を発見することはできないことに注意が必要だ。


◇どうするオンライン資格確認(続編) マイナンバーカードリーダー「申請する」は少数情報が少なく困惑者多数(20年9月埼玉保険医新聞 PDF)

◇どうするオンライン資格確認 カードリーダー申請は“任意”当面は様子見で(20年8月埼玉保険医新聞 PDF)

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